万葉仮名とは
- 分類
- 文体・技法
- 読み
- まんようがな
漢字の音や訓を借り、その字の意味とは切り離して日本語の音を書き表した表記法。仮名がまだ無かった時代に、漢字だけで日本語を記すために用いられた。「阿米(あめ・天)」「久尓(くに・国)」「許己呂(こころ・心)」のように一字で一音を表すものが基本で、六世紀ごろの金石文にすでに例が見え、『古事記』『日本書紀』の歌謡や『万葉集』の歌で本格的に用いられた。『万葉集』の表記に多く使われたことからこの名がある。漢字の意味を捨てて音だけを使うというこの工夫が、外来の文字で自国の言葉を書き記す道を開いた。『万葉集』では音を主とする表記と訓を主とする表記が入り交じっており、その解読は近世の国学者たちの大きな仕事となった。九世紀に入ると、万葉仮名の字体をくずして平仮名が、漢字の一部を取って片仮名が生まれ、かな文字による『古今和歌集』や物語・日記の文学が花開いていく。上代の文学が漢字だけで書かれ、そこから王朝のかな文学が育ったことは、日本語の表記の歴史と文学の歴史が分かちがたいことをよく示している。