上代文学とは

分類
時代区分
読み
じょうだいぶんがく

文字による記録が始まった奈良時代までの、日本文学の黎明期を指す文学史区分。大陸から漢字が伝わり、それを用いて口承の神話・伝説・歌謡が書きとめられた。和銅5年(712年)に太安万侶が編んだ『古事記』は、天地開闢から推古朝までの神話と歴史を、漢字の音訓を巧みに用いた独特の文体で記した現存最古の書物であり、続く『日本書紀』(720年)や各地の『風土記』とともに、古代の世界観を今に伝える。記紀に収められた歌謡(記紀歌謡)は、文字以前から歌い継がれた古い歌の姿をとどめ、天平勝宝3年(751年)には現存最古の漢詩集『懐風藻』も編まれて、和と漢の二つの表現が並び立った。歌の分野では、奈良時代の末に大伴家持らの手でまとめられたとされる『万葉集』が、天皇・貴族から名もなき防人・農民まで、あらゆる階層の人々の率直でおおらかな歌約四千五百首を収め、日本最古の歌集として和歌の源流をなした。素朴で力強く生命力にあふれた「ますらをぶり」の歌風は、後世たびたび理想として仰がれ、近代でも正岡子規や斎藤茂吉らの短歌革新の拠りどころとなった。

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