地の文とは
- 分類
- 文体・技法
- 読み
- じのぶん
小説や物語などで、登場人物の会話や引用された歌などを除いた、説明・描写・叙述の部分。人物の行動、場面の様子、出来事の経過、心情などを伝え、会話とともに物語を進める。たとえば、説明用の例として「彼は窓を開けた。『寒いね』と言って振り返った」と書いた場合、かぎ括弧の中が会話で、その前後が地の文に当たる。ただし、地の文をそのまま作者本人の発言と考えることはできない。一人称の小説では、物語に登場する「私」が自分の経験や考えを語ることがあり、その人物の知識や見方が叙述に反映される。夏目漱石の『吾輩は猫である』でも、猫の語りを通して人間社会が描かれており、地の文は中立的な説明だけでできているわけではない。三人称の小説でも、特定の人物の感覚や考えに近づいて描かれる場合がある。会話が何を語るかに加え、地の文が何を説明し、何を省くかを見ることで、作品の語り方が分かる。また、文体や語彙、時の進め方の特徴も現れやすい。戯曲のト書きもせりふ以外の部分だが、舞台上の動作や状況を指定する役割をもつため、小説の地の文とは同一ではない。作品の形式に応じて区別して使う用語である。
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この用語に関わる作品
- 吾輩は猫である 1905年(明治38年)1月