軽みとは
- 分類
- 文体・技法
- 読み
- かるみ
松尾芭蕉が晩年に重んじた俳諧の考え方。「かろみ」とも読む。身近な生活や日常の事物を取り上げ、作為の目立つ趣向や重苦しい言い回しを避けて、平明で自然な表現にすることを目ざす。単に内容が軽薄であることや、笑いだけを追うことを意味しない。発句の言葉遣いや題材の扱いに加えて、連句で前句にどう応じるかという付合のあり方にも関わる。芭蕉は手紙や門人への言葉の中でこの考えを説き、門人たちの記録にもその発言が伝えられている。晩年の俳諧撰集『炭俵』は、軽みを知るうえで重要な作品集である。蕉風の説明では「さび」「しをり」「細み」などと並べて挙げられるが、これらを単純な段階として並べ、ある理念を捨てて次に移ったと割り切ることはできない。また、軽みは題材が日常的であれば自動的に備わる性質でもない。言葉を飾り立てず、余分な説明を押し出さずに情景を生かす工夫や、連句を滞らせずに展開する姿勢まで含んでいる。芭蕉の俳諧を、孤独や寂寥を表す句だけで捉えず、暮らしの細部へ向かう関心と表現の柔軟さから読むための重要な手がかりとなる。