わび・さびとは
- 分類
- その他
- 読み
- わびさび
簡素で不足したもの、古びて枯れたもののうちに深い美を見いだす、中世から近世にかけて育った美意識。「わび」は思うようにならず気落ちする意の動詞「わぶ」、「さび」は古びて色あせる意の「さぶ」から出た語で、もとはいずれも欠けた状態を嘆く言葉であった。それが中世に入ると、足りないことのうちにこそ美があるという価値の逆転を経て、美的な理念へと転じる。茶の湯では村田珠光から武野紹鴎を経て千利休が、豪奢な唐物や広い座敷を退けて質素な草庵に精神の豊かさを求め、わび茶を大成した。俳諧では松尾芭蕉が、閑寂のなかに澄んだ情趣を感じ取る「さび」を蕉風の理念に据えている。岡倉天心が英文で著した『茶の本』(明治39年)は、この不完全なものを尊ぶ心を日本文化の核として西洋に説いた書物である。今日では二語をひと続きに「わびさび」と呼ぶことも多いが、もとは茶の湯と俳諧それぞれの場で育った別々の理念である。幽玄やもののあはれと並び、日本の美を語るときの基本語となっている。
関連する用語
この用語に関わる作品
- 茶の本 1906年(明治39年)