近世文学とは
- 分類
- 時代区分
- 読み
- きんせいぶんがく
江戸時代(17世紀初めから19世紀半ば)の文学。武士にかわって町人が担い手となり、版木による出版と貸本屋の普及が広い読者層を生んだ点に、それまでの時代との大きな違いがある。前半は上方が中心で、元禄期には井原西鶴が町人の欲と世相を活写した浮世草子『好色一代男』(天和2年・1682年)を刊行し、松尾芭蕉が俳諧を「さび」「軽み」の芸術へ高めて紀行『おくのほそ道』を残し、近松門左衛門が人形浄瑠璃『曽根崎心中』(元禄16年・1703年)で義理と人情の板挟みを描いた。後半は江戸が中心となり、上田秋成の読本『雨月物語』(安永5年・1776年)、十返舎一九の滑稽本『東海道中膝栗毛』、二十八年をかけて完結した曲亭馬琴の大作『南総里見八犬伝』(文化11年〜天保13年)など、戯作と総称される多彩な読み物が栄えた。国学では本居宣長が『源氏物語』に「もののあはれ」を見いだしている。近代文学は坪内逍遥が戯作の勧善懲悪を批判するところから始まったが、芥川龍之介『戯作三昧』や内田魯庵『八犬伝談余』のように、近代の作家がこの時代を振り返った作品も少なくない。