読本とは

分類
形式・ジャンル
読み
よみほん

絵を主とする草双紙に対して、読む文章を主とした江戸中後期の小説。中国の白話小説に学んだ雅俗折衷の文体で、伝奇的な物語を緻密に仕組む点に特色がある。寛延2年(1749年)の都賀庭鐘『英草紙』に始まり、前期は上方が中心で、安永5年(1776年)の上田秋成『雨月物語』が、怪異と人間の情念を格調高い文章で描いてその頂点をなした。後期は江戸へ移り、寛政11年(1799年)の山東京伝『忠臣水滸伝』の成功を機に版元も力を入れ、曲亭馬琴が八犬士の活躍を二十八年かけて書き継いだ大作『南総里見八犬伝』(文化11年〜天保13年)で大成した。因果応報と勧善懲悪を骨格とするその構想は、明治になると坪内逍遥に「人情を描いていない」と批判されて近代小説に道を譲るが、壮大な伝奇の想像力は、後世の歴史小説・伝奇小説へ受け継がれている。内田魯庵『八犬伝談余』や芥川龍之介『戯作三昧』は、近代の作家がこの世界を振り返った作品である。

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