伝奇小説とは

分類
形式・ジャンル
読み
でんきしょうせつ

現実にはありえない怪異や奇想、秘境、超人的な人物を描く物語。語のもとは中国唐代の短編小説で、晩唐の裴鉶が編んだ作品集『伝奇』の名が一般化し、唐の小説を伝奇と総称するようになった。日本では上田秋成『雨月物語』をはじめとする読本がその想像力を受け継ぎ、芥川龍之介が唐代伝奇の「杜子春伝」を下敷きに書いた『杜子春』(大正9年)のように、近代の作家もくり返しこの鉱脈に立ち返っている。大正末から昭和初期には大衆文学の一角として伝奇時代小説が花開き、吉川英治は幕府転覆の陰謀と閉ざされた国・阿波をめぐる『鳴門秘帖』(大正15年〜)で出世作を得た。谷崎潤一郎が架空の文献を考証する体裁で戦国武将の倒錯を描いた『武州公秘話』(昭和6年)もこの系譜に連なる。国枝史郎『神州纐纈城』は連載当時さほど顧みられなかったが、昭和43年(1968年)の復刊を三島由紀夫が絶賛したのを機に再評価され、のちの伝奇小説の隆盛を導いた。

関連する用語

この用語に関わる作品

この用語に関わる作家