春雨物語とは

分類
形式・ジャンル
読み
はるさめものがたり

上田秋成の晩年の作で、文化5年(1808年)に成立した短編集。『雨月物語』の約三十年後に書かれ、「血かたびら」「天津処女」「海賊」「二世の縁」「目ひとつの神」「死首の咲顔」「捨石丸」「宮木が塚」「歌のほまれ」「樊噲」の十編から成る。『雨月物語』が中国の白話小説などを素材に、怪異を巧みに仕立てたのに対し、こちらは日本の歴史や古典に取材した作が多く、人の世の矛盾、権力への批判、老いを見つめる心境がにじむ。「海賊」には、紀貫之が土佐から京へ帰る船の上で海賊に出会い、『古今和歌集』の序文を批判される場面がある。秋成の死後の長い間、広くは知られなかった作品だが、近代以降に評価が高まり、日本の怪異文学の傑作の一つに数えられるようになった。

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