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雨月物語(上田秋成)のあらすじ・登場人物

執念が呼ぶ九つの怪異

  • 怪奇
  • 幻想
  • 古典

上田秋成 1776年

文字数
51,829字
読了目安
約1時間44分
表記
新字旧仮名
種別
小説
舞台
  • 栃木県
  • 福島県
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  • 岡山県
  • 香川県

この作品について

安永5年(1776年)に刊行された、上田秋成の読本(よみほん)。中国の白話小説や日本の古典に題材を借りながら、人の執念・愛欲・信義が呼び起こす怪異を、格調高い和漢混淆文で描いた全五巻九篇の怪異小説集で、近世小説の最高傑作と称される。崇徳院の怨霊と西行が論争する「白峯」、義兄弟の約束を描く「菊花の約」、夫を待つ妻の物語「浅茅が宿」、「吉備津の釜」、蛇の化身の女が現れる「蛇性の婬」などを収める。溝口健二監督の映画「雨月物語」(1953年)の原作としても知られる。本書は鵜月洋の校注本(角川文庫)による原文で、各篇に脚注が付く。

あらすじ

「白峯」では、歌枕を巡る旅の西行が讃岐の崇徳院の陵に詣でると、院の怨霊が現れて保元の乱の恨みを語り、天下に祟ると言い放つ。西行は王道を説いて院をいさめる。「菊花の約」では、播磨の学者・丈部左門が、旅先で病に倒れた武士・赤穴宗右衛門を看病して義兄弟の契りを結ぶ。重陽の節句の再会を約して出雲へ帰った宗右衛門は幽閉され、約束を守るため自害して、魂となって左門のもとに現れる。「浅茅が宿」では、下総の勝四郎が商いのため妻の宮木を残して京へ上るが、戦乱に阻まれて七年ぶりに帰郷する。荒れ果てた家で妻に迎えられた翌朝、宮木がとうに死んでいたことを知る。ほかに、鯉になって琵琶湖を泳ぐ夢を見た画僧の「夢応の鯉魚」、高野山で豊臣秀次の亡霊の酒宴に遭遇する「仏法僧」、夫に裏切られた磯良の怨霊が復讐を遂げる「吉備津の釜」、蛇の化身・真女児に執拗に慕われる豊雄の「蛇性の婬」、愛した稚児の死に狂って鬼となった僧を快庵禅師が救う「青頭巾」、黄金の精霊が武士の岡左内と富について語り合う「貧福論」を収める。

登場人物

冒頭部(原文より)

 あふ坂の関守にゆるされてより、秋こし山の黄葉見過しがたく、浜千鳥の跡ふみつくる鳴海がた、不尽の高嶺の煙、浮嶋がはら、清見が関、大礒小いその浦々、むらさき艶ふ武蔵野の原、塩竈の和ぎたる朝げしき、象潟の蜑が苫や、佐野の舟梁、木曾の桟橋、心のとどまらぬかたぞなきに、猶西の国の歌枕見まほしとて、仁安三年の秋は、葭がちる難波を経て、須磨明石の浦ふく風を身にしめつも、行々讃岐の真尾坂の林といふにしばらく笻を植む。草枕はるけき旅路の労にもあらで、観念修行の便せし庵なりけり。

「雨月物語」上田秋成(青空文庫)

末尾部(原文より)

 数言興尽きて、遠寺の鐘五更を告ぐる。夜既に曙けぬ。別れを給ふべし。こよひの長談まことに君が眠をさまたぐと、起ちてゆくやうなりしが、かき消して見えずなりにけり。  左内つらつら夜もすがらの事をおもひて、かの句を案ずるに、百姓家に帰すの句、粗其の意を得て、ふかくここに信を発す。まことに瑞草の瑞あるかな。

「雨月物語」上田秋成(青空文庫)

名文

御衣は柿色のいたうすすびたるに、手足の爪は獣のごとく生ひのびて、さながら魔王の形、あさましくもおそろし。

上田秋成『雨月物語』「白峯」で、西行の前に現れた崇徳院の霊の姿。獣のように伸びた爪を持つ魔王の形が凄絶に描かれる。

青々たる春の柳、家園に種ゆることなかれ。交りは軽薄の人と結ぶことなかれ。

「菊花の約」の書き出し。軽薄な人との交わりを戒める言葉で始まり、信義を重んじる友の物語であることを予告する。

原文を読む

原文は青空文庫で公開されています(アプリからも同じ本文をダウンロードして縦書きで読めます)。

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