アプリで読む

無料・登録不要

現代語訳 雨月物語(上田秋成)のあらすじ・登場人物

秋成の怪異を現代の言葉で

  • 怪奇
  • 幻想
  • 古典

上田秋成 訳者 鵜月洋 1959年(昭和34年)

文字数
186,668字
読了目安
約6時間13分
表記
新字新仮名
種別
小説
舞台
  • 栃木県
  • 福島県
  • 千葉県
  • 滋賀県
  • 兵庫県
  • 和歌山県
  • 岡山県
  • 香川県

この作品について

上田秋成の怪異小説集「雨月物語」(1776年刊)を、近世文学研究者の鵜月洋が現代語に訳したもの。崇徳院の怨霊と西行の論争「白峯」、義兄弟の約束を描く「菊花の約」、夫を待つ妻の物語「浅茅が宿」、「吉備津の釜」、蛇の化身の女が現れる「蛇性の婬」など全九篇を、なるべく逐語訳に従いながら、長い文がえんえんと続く秋成独特の文体の調子を生かした現代文で読める。底本の角川文庫は、現代語訳・校注本文・解説の三部からなる一冊で、このテキストでも現代語訳のあとに、脚注付きの原文と訳者の解説が続く。原文(旧仮名)を読む前の入り口として親しみやすい。

あらすじ

全九篇の怪異譚を収める。「白峯」では、西行が讃岐の崇徳院の陵に詣でると院の怨霊が現れ、保元の乱の恨みから天下に祟ると言い放ち、西行は王道を説いていさめる。「菊花の約」では、播磨の学者・丈部左門と義兄弟の契りを結んだ武士・赤穴宗右衛門が、出雲で幽閉されながらも重陽の節句の再会の約束を守るため自害し、魂となって左門を訪れる。「浅茅が宿」では、戦乱に阻まれて七年ぶりに下総の家へ帰った勝四郎が、待っていた妻の宮木と一夜を過ごし、翌朝、妻がとうに死んでいたことを知る。「夢応の鯉魚」では画僧の興義が鯉となって琵琶湖を泳いだ夢を語り、「仏法僧」では高野山に参詣した父子が豊臣秀次の亡霊の酒宴に行き会う。「吉備津の釜」では、凶の占いを押して結ばれた妻の磯良を裏切った正太郎が、怨霊となった磯良に取り殺される。「蛇性の婬」では紀伊の若者・豊雄が蛇の化身の美女・真女児に執拗に慕われ、「青頭巾」では稚児の死に狂って鬼と化した僧を快庵禅師が救う。最後の「貧福論」では、黄金の精霊が武士の岡左内の枕元に現れ、富と人の徳について語り合う。

登場人物

冒頭部(原文より)

 逢坂山の関守に通行を許されて東国にむかってから、秋をむかえた山のもみじの美景も見捨てがたく、そのまま諸国行脚の旅をつづけることにして東海道をくだったが、なかでも浜千鳥が砂浜に足跡をつけてあそぶ鳴海潟、富士山の噴煙、浮島が原、清見が関、大磯小磯の浦々、紫草の美しく咲く武蔵野の原、塩釜の海の穏やかな朝景色、象潟の猟師のひなびた苫ぶきの家、佐野の舟橋、木曾の桟橋などのありさまは、どれひとつとして心惹かれないところはなかったが、そのうえなお西国の名所・歌枕を見たいものだと思って、仁安三年の秋には、葭の花散る難波を経て、須磨・明石の浦ふく汐風を身にしみじみと感じながら、旅をつづけて四国にわたり、讃岐の真尾坂の林というところに、しばらく逗留することにした。

「現代語訳 雨月物語」上田秋成(青空文庫)

末尾部(原文より)

 左内と黄金の精の間にはいろいろとおもしろいはなしがとりかわされたが、それもようやく終りになって、折から遠くの寺でつきだす午前四時の鐘が夜あけの近いことをしらせた。それを聞くと、黄金の精は、「おや、もう夜があけましたね。おいとまをいただくとしましょう。今夜の長ばなしですっかりあなたのおやすみを邪魔してしまいました」といって、座をたって行くような様子をしたが、ふっとその姿はかき消すように見えなくなった。  左内は、つくづくとこの一夜中のことを思いおこして、黄金の精のいった「堯蓂日杲、百姓帰家」の句を考えてみると、「百姓家に帰す」の句が「家康に帰す」という意味を暗示しているように思われ、精のいった真意のほどもほぼ会得されて、その言をふかく信ずる気になった。まことに瑞草の生ずるようなめでたい代にめぐりあうべき瑞兆の言葉であり、めでたいはなしである。

「現代語訳 雨月物語」上田秋成(青空文庫)

原文を読む

原文は青空文庫で公開されています(アプリからも同じ本文をダウンロードして縦書きで読めます)。

青空文庫の図書カード

同じ作家の作品

近い作品