幽玄とは
- 分類
- その他
- 読み
- ゆうげん
中世の和歌・連歌・能を貫く美的理念で、言葉に表れた意味の奥に漂う、深く言い尽くしがたい情趣をいう。もとは仏教や漢籍で「奥深くはかりしれない」意に用いられた語だったが、平安末期から歌論の用語となり、藤原俊成が余情をたたえた気品ある美として和歌の理想に掲げ、その子・定家らの手で『新古今和歌集』の余情妖艶な歌風に結実した。中世には連歌の心敬らにも受け継がれ、さらに世阿弥が能の理念として、優美で柔らかな姿のうちに底知れぬ深さをたたえる境地を幽玄と呼んだ。世阿弥は『風姿花伝』などの伝書で、観客の心に生まれる感動を「花」と呼び、幽玄をその根に据えている。描き尽くさずに余白と余情へ委ねるこの美意識は、王朝の「もののあはれ」、中世の無常観、近世の「わび・さび」と並んで、日本の美を語るときの鍵となる語である。明快さを尊ぶ西洋の美に対する日本的な奥ゆかしさとして、近代以降の日本文化論でもくり返し取り上げられてきた。