能楽とは
- 分類
- その他
- 読み
- のうがく
室町時代に大成した仮面劇「能」と、その間に演じられる喜劇「狂言」とを合わせた総称。江戸時代までは猿楽と呼ばれ、明治14年(1881年)の能楽社の設立を機に能楽と改称された。南北朝から室町にかけて観阿弥・世阿弥の父子が足利義満の庇護のもとで芸を洗練させ、世阿弥は『風姿花伝』などの伝書に「幽玄」「花」の理念を書き残している。詞章にあたる謡曲は『平家物語』や王朝の物語を題材に、旅の僧の前に亡霊が現れて過去を語る夢幻能の形式を完成させ、和歌の修辞を凝らしたその文章は中世文学の精華の一つに数えられる。近代文学にも影を落としており、泉鏡花は謡の腕くらべで人を死に追いやった能役者の贖罪を描いた『歌行灯』で芸道小説の代表作を残し、夢野久作はデビュー作『あやかしの鼓』で持ち主に不幸をもたらす能の鼓の怪異を扱った。「あやかし」が能で妖怪を指す語であることも、その題に響いている。同じ中世に生まれた語り物や、近世の歌舞伎とともに、日本の演劇と韻文の源流をなす芸能である。