戯曲とは

分類
形式・ジャンル
読み
ぎきょく

演劇の上演を前提に、登場人物のせりふとト書きで構成される文学。歌舞伎や浄瑠璃の台本を古典にもつが、西洋近代劇の移入と新劇運動のなかで、読んで味わう独立した文芸としての近代戯曲が確立した。坪内逍遥のシェイクスピア翻訳や、森鴎外が訳したゲーテ『ファウスト』が範を示し、泉鏡花は『夜叉ヶ池』『天守物語』などの幻想的な戯曲に独自の美の世界を築いた。岡本綺堂は『修禅寺物語』などで新歌舞伎の名作を残し、菊池寛は親子の相克を凝縮した『父帰る』(大正6年)で戯曲作家としても認められた。大正末からは岸田国士が『紙風船』など、日常の心理をせりふのあやで描く洗練された会話劇を確立し、日本の近代戯曲を芸術的に高めた。上演によって完成する一方、戯曲は文字で読む文学としても独自の魅力をもち、多くの作家が小説と並んでこの形式に筆を染めた。

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