古今伝授とは
- 分類
- その他
- 読み
- こきんでんじゅ
『古今和歌集』の難解な語句や歌の解釈を、師から弟子へ秘説として授けること。全巻にわたる講釈と、要点を書きつけた切紙や証本の授与によって行われ、集中の植物や鳥の名をめぐる「三木三鳥」などの秘説がよく知られる。源流を平安末から鎌倉時代の歌の家の説にまでさかのぼる見方もあるが、一般には、二条派の歌学を学んだ美濃の武士で歌人の東常縁が、文明3年(1471年)に連歌師の宗祇へ伝えたことを始まりとする。宗祇の伝えた説は、公家の三条西実隆を経て三条西家に受け継がれた流れと、弟子の肖柏から堺の町人へ伝わった流れなどに分かれた。三条西実枝から伝授を受けた細川幽斎は、慶長5年(1600年)に八条宮智仁親王へ古今伝授を授けている。同じ年、関ヶ原の戦いに先立って幽斎が丹後の田辺城で包囲されると、伝授が絶えることを惜しんだ朝廷が勅使を送り、幽斎は城を明け渡したと伝えられる。智仁親王は寛永2年(1625年)に後水尾天皇へ伝え、これが宮中に受け継がれる御所伝授となった。一方、幽斎の門からは松永貞徳を経て北村季吟らに至る流れも生まれた。古今伝授は古典研究の伝統を守り伝えた反面、秘伝の形式に流れたとも評される。江戸時代に国学者が文献に即して古典を読む方法を広めると、その権威はしだいに薄れていった。