長長秋夜(小熊秀雄)のあらすじ・登場人物
棒で白衣を打つ老婆の泣き声
- 文字数
- 3,217字
- 読了目安
- 約6分
- 表記
- 新字旧仮名
この作品について
小熊秀雄の代表作の一つ。「ぢやん、ぢやん、ちゆう、や」は朝鮮語で長い長い秋の夜の意味とされ、洗濯物を棒で打つ朝鮮の老婆の姿を通じて、植民地支配下の朝鮮の民の悲しみを歌う。日本人の詩人による朝鮮への同情の詩として知られる。
あらすじ
冒頭に、題が朝鮮語で長い秋の夜を意味するという断りが置かれる。「朝鮮よ、泣くな」と呼びかけ、洗濯台で白衣を叩く老婆の姿が描かれる。「トクタラ、トクタラ」の音が村中に響く。朝鮮の山には木がなく、家には食い物がない。老婆は体を左右に振りながら、「良い音がするぢや」と言う。自分の娘や息子のことは分からぬが、親父や先祖のこと、古い朝鮮のことは、年寄りの耳垢が語ってくれるという。幾千年の昔から女たちは台の上で白衣を打ち、男たちに清潔な衣を着せてきた。結びは、打つ老婆も打たれる白衣も石も、すべての朝鮮が泣いている、という痛切な場面。
冒頭部(原文より)
――ぢやん、ぢやん、ちゆう、やは朝鮮語で長い長い秋の夜といふ意味。 朝鮮よ、泣くな、 老婆よ泣くな、 処女よ泣くな、 洗濯台に笑はれるぞ、 トクタラ、トクタラ、トクタラ、 それ、あの物音はなんの音か、 お前が手にした木の棒から
「長長秋夜」小熊秀雄(青空文庫)
末尾部(原文より)
強く石をうつ 強く朝鮮の歌をうたひだす 黒くよごれた白衣を棒でうつ うつパンチも泣いてゐる 打たれる白衣も泣いてゐる、 うつ老婆も泣いてゐる 打たれる石も泣いてゐる すべての朝鮮が泣いてゐる
「長長秋夜」小熊秀雄(青空文庫)
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