託児所をつくれ(小熊秀雄)のあらすじ・登場人物
奇蹟の女王と詩人たち
- 文字数
- 16,697字
- 読了目安
- 約33分
- 表記
- 新字旧仮名
この作品について
小熊秀雄が晩年に書いた長詩。詩人たちのなかに現れた「奇蹟の女王」と呼ばれる女性をめぐる回想を、風刺とユーモアで描きながら、最後に「託児所をつくれ!」という叫びへと転ずる。
あらすじ
一章で、語り手は、吉田りん子という詩人の詩集『酒場の窓』を探すが見つからない、と話し始める。彼女を「奇蹟の女王」と名づけている。突然詩人のグループに現れた彼女の周囲に詩人たちが集まる様子を、布切れの真ん中をつまむと周囲が寄ってくる、と喩える。縮れ毛の荒れ果てた庭のような寂寥、肺の悪い女の美しさなど、詩人たちの賛辞が並ぶ。結びでは、酔った男がバーの女給をつかまえて「すべての女はみんな母親になれるんだ」と怒号し、外のネオンの上の星を見て「託児所をつくれ!」と絶叫し、電信柱にもたれて吐く。
冒頭部(原文より)
一 この長詩を書くための材料に 本棚を熱心にかきまはしたが 探す本は発見らない 黒表紙で五十頁余りの 吉田りん子といふ詩人の 『酒場の窓』といふ詩集だ、 捨て難いものがあつて
「託児所をつくれ」小熊秀雄(青空文庫)
末尾部(原文より)
「すべての女はみんな母親になれるんだ」 と怒号すると女給たちは何ともいへない嫌な顔をする ふらふらとバーの扉をあけて戸外にでゝ 夜のネオンサインの上に ちらばり光る星をみると 「託児所をつくれ!」と絶叫し かたはらの電信柱にもたれかゝつてゲーといふ。
「託児所をつくれ」小熊秀雄(青空文庫)
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