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『鉢の子』から『其中庵』まで(種田山頭火)のあらすじ・登場人物

結庵報告書にして旅の人の述懐

種田山頭火 1932年(昭和7年)12月 「三八九」

文字数
4,549字
読了目安
約9分
表記
新字新仮名
種別
随筆

この作品について

第一句集『鉢の子』の出版から草庵「其中庵」の結庵に至るまでの経緯を、山頭火自身が仲間への報告として綴った文章。友人たちの厚意に支えられて庵に落ち着いた喜びと、なお旅に出たくなる性分への自省がにじむ。「笠も漏りだしたか」など句を交えた文は、旅の人から庵の人へ移る時期の心境を伝える。

あらすじ

書き出しは、句集の出版と草庵の造作に尽力した句友たちへの、遅ればせの報告とお礼である。ついで、一昨年の秋の終わりに果てのない旅に疲れて緑平居の坂を上った日のことが語られる。「枝をさしのべてゐる冬木」のように差し出された緑平の手を握り、道友のあたたかさを知った山頭火は、ここで其中庵の第一歩を置くことになる。しかし落ち着く場所のない身は熊本へ向かい、冬雨に濡れて歩く途中で笠が漏りだす。三度目の網代笠とともに旅を重ねた日々が回想され、やがて山村の草庵に居を定めた朝夕の静けさが描かれる。結びでは「あめふるふるさとははだしであるく」「住みなれて茶の花のひらいては散る」などの句が書き添えられる。

冒頭部(原文より)

この一篇は、たいへんおそくなりましたけれど、結庵報告書ともいうべきものであります。井師をはじめ、北朗兄、緑平兄、酒壺洞兄、元寛兄、白船兄、樹明兄、そのほか同人諸兄姉の温情によって、句集が出版され、草庵が造作されました。おかげで私は山村庵居の宿題を果すことが出来て、朝々、山のしずけさ人のあたたかさを満喫しております。ここに改めてお礼とお詑とを申し上げる次第であります。

「『鉢の子』から『其中庵』まで」種田山頭火(青空文庫)

末尾部(原文より)

 最後に私は、川棚で出来た句『花いばら、ここの土とならうよ』の花いばらを茶の花におきかえなければならなくなったことを書き添えよう。そして、もう一句、最も新らしい一句を書き添えなければなるまい。 住みなれて茶の花のひらいては散る (「三八九」復活第四集)

「『鉢の子』から『其中庵』まで」種田山頭火(青空文庫)

原文を読む

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