或る淫売婦におくる詩(山村暮鳥)のあらすじ・登場人物
世の果てに立つ女への祈り
- 文字数
- 1,089字
- 読了目安
- 約2分
- 表記
- 新字新仮名
この作品について
山村暮鳥が、街角に立つ娼婦に向けて語りかける長めの詩。1917年(大正6年)9月号の詩誌「感情」に「或る淫売婦におくる」の題で発表された。社会の底辺に置かれた女性への共感と祈りを口語で綴り、プロレタリア詩集にも収められた。暮鳥の人道主義的な面を示す作品である。
あらすじ
詩は「女よ/おんみは此の世のはてに立っている」と呼びかけて始まる。おんみの道はつきており、そのことは自分でも知っていると語り、美しかった肉体を大地にかえすときが来たと告げる。続いて、おんみのくるしみは世界の苦みであり、そのくるしみによって人間は赦されると言う。夜な夜なうす暗い街角で、子猫のように飢えてたたずんでいたとき、それを見て石を投げた者は誰かと問い、野獣のような人々をなぐさめるために、年頃の肉体をささげたことを思う。語り手は、おんみの「無智の尊とさ」を讃え、おんみは人間を救い、おんみ自身もそれによって救われたと述べ、最後には、あとに残る世界をもう一度こちらを向いてよく見ておくれ、と「吾等の骨肉」に呼びかけて終わる。
冒頭部(原文より)
女よ おんみは此の世のはてに立っている おんみの道はつきている おんみはそれをしっている いまこそおんみはその美しかった肉体を大地にかえす時だ 静かにその目をとじて一切を忘れねばならぬ おんみはいま何を考えているか おんみの無智の尊とさよ
「或る淫売婦におくる詩」山村暮鳥(青空文庫)
末尾部(原文より)
彼等はなんにもしらないのだ わかりましたか そして吾等の骨肉よ いま一どこちらを向いて おんみのあとにのこる世界をよくみておくれ (『感情』一九一七年九月号に「或る淫売婦におくる」と題して発表 一九六一年十二月弥生書房刊『山村暮鳥全集』第一巻を底本)
「或る淫売婦におくる詩」山村暮鳥(青空文庫)
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