風は草木にささやいた(山村暮鳥)のあらすじ・登場人物
苦しみを喜べと呼びかける詩集
- 文字数
- 28,599字
- 読了目安
- 約57分
- 表記
- 旧字旧仮名
この作品について
山村暮鳥の第三詩集。前衛的な『聖三稜玻璃』のあと、平易な言葉で人間と自然への信頼を歌う方向へ転じた時期の詩集である。冒頭の「人間の勝利」は「くるしいか/くるしめ」と呼びかける力強い詩で、人道主義的な詩風を代表する。親友の早坂掬紫、平井邦二郎、前田夕暮、妻ふじ子への感謝が後記に記されている。
あらすじ
巻頭に「此の書を祖国のひとびとにおくる」と献辞があり、「なんぢはなんぢの面に汗して生くべし」の言葉が掲げられる。第一の詩「人間の勝利」は、「人間はみな苦んでゐる/何がそんなに君達をくるしめるのか」と問いかけ、山頂の松の古木が烈風を切る音のように、苦しみが人間を力づけると語り、倒れるときにはほほゑんで大木のように倒れろと結ぶ。以下、「頑固であれ」「街角で」「馬と人と」「子守唄」「風ではない」「雨あがり」「妻よ」など、日常の観察と祈りに近い呼びかけが続く。「街角で」は、種子を売る老婆を見た晩の夢を、「馬と人と」は雪の寒田で働く馬と人と鴉の「睦じさ」を歌う。後記で、詩集が世に出る経緯への感謝が述べられる。
冒頭部(原文より)
此の書を祖國のひとびとにおくる なんぢはなんぢの面に汗して生くべし 人間の勝利 人間はみな苦んでゐる 何がそんなに君達をくるしめるのか しつかりしろ 人間の強さにあれ 人間の強さに生きろ
「風は草木にささやいた」山村暮鳥(青空文庫)
末尾部(原文より)
こつちをみろ 自分の此詩集が日光の中に出るやうになつたのは親友早坂掬紫、平井邦二郎、前田夕暮等の友情によつてであることを大なる感謝をもつてここに記しておく。更にこれらの名の中に自分は自分の妻ふじ子の名をもかき加へなければならない。
「風は草木にささやいた」山村暮鳥(青空文庫)
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