伏線とは

分類
文体・技法
読み
ふくせん

物語の後の展開を、あらかじめさりげなく示しておく技法。登場人物の何気ない言動や、小道具、風景の描写が、後になって重要な意味を持つことがある。読者は、結末で伏線が回収されたときに、納得や驚きを得る。後から振り返ると、あの一言やあの場面にすでに答えが示されていたと気づくところに、伏線の面白さがある。ロシアの作家チェーホフは、第一幕で壁に銃を掛けたなら、それは物語のどこかで撃たれなければならないという趣旨の言葉を残したとされ、物語に無駄な要素を置かないという考え方は「チェーホフの銃」として知られる。推理小説では、犯人や真相に関する手がかりを、読者に気づかれないように配置するフェアプレーの工夫としても使われ、読者が作者と同じ材料で謎を解けるように手がかりを示すことが、本格探偵小説の約束事とされた。一方で、伏線と見せかけて読者の注意をそらす偽の手がかりもある。日本の古典でも、『源氏物語』のような長編物語では、ある巻の小さな出来事や和歌が、はるか後の巻で意味を帯びる構成が見られ、新聞連載小説でも、連載の先を読者に期待させるために伏線が多用された。伏線は、あからさまに示せば先が読めてしまい、隠しすぎれば回収されても読者に気づかれないため、その加減に作家の腕が表れる。伏線を張るには、作品全体の構成を見通していることが求められ、長編小説では特に重要な技術となる。このアプリの詳細なあらすじでも、作品ごとに主な伏線とその意味を解説している。

関連する用語