探偵小説とは
- 分類
- 形式・ジャンル
- 読み
- たんていしょうせつ
犯罪や謎解きを主題とする小説の形式・ジャンル。1841年にアメリカのポーが発表した「モルグ街の殺人」が近代の探偵小説の始まりとされ、イギリスのコナン・ドイルのシャーロック・ホームズの連作によって世界的に広まった。日本では、明治20年代に黒岩涙香が西洋の探偵小説を翻案して新聞に連載し、「萬朝報」の『幽霊塔』(明治32年)などで大衆の人気を集めたのが始まりで、大正6年(1917年)には岡本綺堂がホームズに学んで江戸の捕物帳『半七捕物帳』を書き始めた。創作の探偵小説が本格的に花開いたのは、雑誌「新青年」に江戸川乱歩の『二銭銅貨』(大正12年)が載ってからで、大正末から昭和初期にかけて乱歩・甲賀三郎・小酒井不木・横溝正史・夢野久作・小栗虫太郎らが数多くの作品を発表して隆盛した。そのころ、論理的な謎解きを主眼とする「本格探偵小説」と、怪奇・幻想・猟奇的な要素を色濃く持つ「変格探偵小説」という分類が広まり、甲賀三郎がその名付け親とされる。乱歩自身の代表作の多くは変格に分類され、『人間椅子』『陰獣』などの猟奇的な作品で知られる一方、夢野久作は難解な幻想と狂気を描いた『ドグラ・マグラ』、小栗虫太郎は博識を凝らした本格的な謎解き『黒死館殺人事件』を残すなど、両派それぞれに個性的な書き手を生んだ。乱歩の『怪人二十面相』に始まる少年探偵団のシリーズは、子どもの読者にもこのジャンルを広めている。戦時下には探偵小説の発表が難しくなり、戦後、昭和21年(1946年)の当用漢字表に「偵」の字が入らなかったこともあって「推理小説」の呼び名が一般化した。大衆文学の一角として大正・昭和の読者に広く親しまれ、戦後の推理小説の隆盛へとつながっていく。