ゴシック小説とは

分類
形式・ジャンル
読み
ごしっくしょうせつ

18世紀後半のイギリスで流行した、中世風の古城や修道院を舞台に、超自然の怪異と恐怖を描く小説群。ゴシック・ロマンスとも呼ぶ。ホレス・ウォルポールの『オトラント城奇譚』(1764年)に始まり、アン・ラドクリフの『ユードルフォの秘密』(1794年)、M・G・ルイスの『マンク』などが続いた。地下牢や隠し通路、宗教裁判、迫害される女性、謎めいた悪人といった道具立てを持ち、人間の非合理な内面への関心や、分身によって人格の分裂を表す手法は、のちの怪奇小説・推理小説・SFの源流となった。メアリー・シェリーの『フランケンシュタイン』(1818年)はこの系譜から生まれ、科学がつくり出した怪物を描いてSFの先駆ともされる。アメリカではポーが、館と一族の宿命を重ねた「アッシャー家の崩壊」、宗教裁判の地下牢を舞台にした「落穴と振子」、分身につきまとわれる「ウィリアム・ウィルスン」などで、その主題を短編の凝縮した恐怖へと高めた。スティーヴンソンの『ジーキル博士とハイド氏』も、一人の人間の中の善と悪を別々の姿で描き、分身の主題を受け継いでいる。日本では、ポーに傾倒してその名から筆名を取った江戸川乱歩らの探偵小説・怪奇小説にその影がうかがわれる。芥川龍之介の『妖婆』も、ポーやホフマンの小説のような不思議が現代の東京でも起こりうると語り出している。

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