アプリで読む

無料・登録不要

ジーキル博士とハイド氏の怪事件(スティーヴンソン)のあらすじ・登場人物

ロンドンの扉に潜む謎

  • 詳細なあらすじ
  • 人物相関図
  • 怪奇
  • ミステリ
  • 翻訳

スティーヴンソン 訳者 佐々木直次郎 1940年(昭和15年)11月 「書き下ろし」

文字数
73,730字
読了目安
約2時間27分
表記
新字新仮名
種別
小説

この作品について

スティーヴンソンが1886年に刊行した中編小説を、佐々木直次郎が訳した一冊。弁護士アッタスンは、散歩の途中で奇妙な出来事を聞き、謎の人物ハイドに関心を抱く。旧友ジーキル博士が残した遺言にもハイドの名があり、二人の関係を案じる弁護士の目を通して、ロンドンで起こる出来事が語られていく。街路や家の扉の描写、関係者の証言や手紙を重ねる構成が、不可解な事件の緊張を高める。訳者あとがきは1940年(昭和15年)11月に記されている。

あらすじ

弁護士アッタスンは、散歩の途中で従弟のエンフィールドから奇妙な話を聞く。夜明けの街角で少女を踏みつけて平然としていた小男が、償いの小切手に名だたる紳士の署名を書いてよこしたというのだ。その署名は旧友ヘンリー・ジーキル博士のものだった。しかも博士の遺言状には、失踪または不在の場合、全財産をエドワード・ハイドなる人物に譲ると記されている。アッタスンはハイドを捜し当てるが、その姿には言葉にしがたい嫌悪を催させる何かがあった。やがて名士ダンヴァーズ・カルー卿が路上でハイドに撲殺される事件が起こり、ハイドは姿を消す。ジーキルは晴れやかになり、旧交を温めるが、ある時からふたたび書斎に閉じこもって人を寄せつけなくなった。執事プールに呼ばれて扉を破ったアッタスンが見たのは、ジーキルの服を着たハイドの死体である。残されていたのは、旧友ラニョン博士の封書と、ジーキル自身の詳細な手記だった。人の内なる善と悪を薬によって分離しようとした実験、次第に自分の意思とは関わりなく別人格が現れるようになった恐怖——その一部始終が、そこに書かれていた。

登場人物

人物相関図

薬で入れ替わる同一人物旧友。遺言書を預かり身を案じる学説の違いで疎遠に小学校から大学まで同窓遠縁。日曜の散歩仲間少女を踏む現場で取り押さえる戸口で待ち伏せ顔を見る手紙の筆跡を鑑定させるハイドの家へ案内する目の前でジーキルに戻る主人に仕える最後の夜に助けを求める踏みつけて平然と去るステッキで撲殺するソホーの家に雇うリチャード・エンフィールドエンフィールドアッタスンの遠縁。詮索を嫌う粋人ゲーブリエル・ジョン・アッタスンアッタスン弁護士。遺言書を預かりハイドの正体を探るヘンリー・ジーキルジーキル名高い医学博士。善と悪を分ける薬を作るヘースティー・ラニョンラニョン名医。ジーキルの旧友で十年来疎遠ゲストアッタスンの主任事務員。筆跡の鑑定家ニューカメン警視ロンドン警視庁の警視プールジーキル家の召使頭。二十年仕えるエドワード・ハイドハイド嫌悪を催させる小男。ジーキルの悪の面女の子八つか九つ。夜明け前の街角でダンヴァーズ・カルーカルー卿白髪の老紳士。国会議員。アッタスンの依頼人ソホーの家政婦銀髪の老婦人。ハイドの家を守る
人物の関係を整理した相関図(アプリ収録の図をそのまま掲載しています)

章ごとの「詳細なあらすじ」

アプリでは、この作品を次の章立てで詳しく読めます(全文はアプリ内)。

  1. 一 この作品について
  2. 二 主要人物
  3. 三 主要なサブキャラクター
  4. 四 導入──戸口の話と奇妙な遺言書
  5. 五 ジーキルの頼みとカルー殺害
  6. 六 二つの筆跡──手紙の出来事とラニョンの変事
  7. 七 窓際の出来事と最後の夜
  8. 八 ラニョン博士の手記──真夜中の訪問者
  9. 九 ジーキルの告白(一)──二つの姿
  10. 十 ジーキルの告白(二)──薬が効かなくなるまで
  11. 十一 重要な設定と伏線

冒頭部(原文より)

戸口の話  弁護士のアッタスン氏は、いかつい顔をした男で、微笑なぞ決して浮かべたことがなかった。話をする時は冷ややかで、口数も少なく、話下手だった。感情はあまり外に出さなかった。やせていて、背が高く、そっけなくて、陰気だが、それでいて何となく人好きのするところがあった。気らくな会合などでは、とくに口に合った酒が出たりすると、何かしらとても優しいものが彼の眼から輝いた。実際、それは彼の話の中には決して出て来ないものであった。が、食後の顔の無言のシンボルであるその眼にあらわれ、また、ふだんの行いの中には、もっとたびたび、もっとはっきり、あらわれたのであった。彼は自分に対しては厳格で、自分ひとりの時にはジン酒を飲んで、葡萄酒をがまんした。

「ジーキル博士とハイド氏の怪事件」スティーヴンソン(青空文庫)

末尾部(原文より)

ハイドは処刑台上で死ぬだろうか? それとも最後の瞬間になって逃れるだけの勇気があるだろうか? それは神さまだけがご存じである。私はどちらでもかまわない。これが私の臨終の時なのだ。そしてこれから先におこることは私以外の者に関することなのだ。だから、ここで私がペンをおいてこの告白を封緘しようとするとき、私はあの不幸なヘンリー・ジーキルの生涯を終らせるのである。

「ジーキル博士とハイド氏の怪事件」スティーヴンソン(青空文庫)

名文

弁護士のアッタスン氏は、いかつい顔をした男で、微笑なぞ決して浮かべたことがなかった。話をする時は冷ややかで、口数も少なく、話下手だった。感情はあまり外に出さなかった。やせていて、背が高く、そっけなくて、陰気だが、それでいて何となく人好きのするところがあった。

「戸口の話」の書き出し。冷たく無口な弁護士アッタスンの人物像を描く。この人物の目を通して、ジーキルとハイドの謎が語られていく。

原文を読む

原文は青空文庫で公開されています(アプリからも同じ本文をダウンロードして縦書きで読めます)。

青空文庫の図書カード

同じ作家の作品

近い作品