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琥珀のパイプ(甲賀三郎)のあらすじ・登場人物

暴風雨の夜、焼け跡に死体があった

  • ミステリ

甲賀三郎 1924年(大正13年)6月 「新青年」

文字数
18,091字
読了目安
約36分
表記
新字新仮名
種別
小説
舞台
  • 東京都

この作品について

1924年(大正13年)、「新青年」に発表された甲賀三郎の出世作。関東大震災の後、自警団から夜警団へと姿を変えた渋谷の高台が舞台である。暴風雨の夜、××省の書記である「私」は、退役陸軍大佐と新聞記者とともに夜警に立っていた。交替してまもなく火事の叫び。焼け跡の奥座敷に横たわっていたのは、血の海に沈んだ一つの死体だった。誰が、どうやって——夜警仲間の一人一人が容疑者となるなかで、事件は思わぬ方向へ転がってゆく。論理を重んじる「本格」を掲げた作者の面目が、細部まで行き届いた一編。

あらすじ

関東大震災から一月あまり。渋谷の高台では、自警団が夜警団と名を変えて続いていた。「私」は四十幾つの××省の書記で、週に一度は夜中に拍子木を叩かねばならない。颱風が帝都を襲うと予報された夜、十二時からの番に出ると、夜警団長で軍備拡張論者の退役陸軍大佐・青木進也と、夜警団廃止論者の新聞記者・松本順三が待っていた。二人は嵐に負けない勢いで議論を闘わせ、そのあげく青木は、夜警を勤めない近所の福島という男を「あんな奴の家は焼き払って仕舞うがよい」と罵る。一時三十五分、二人は最後の巡回に出た。青木は途中で自宅へ寄ると言って別れ、松本が先に戻り、二時に青木が帰ってきた。交替して家路につきかけたとき、嵐の中から火事だという叫びが聞こえる。燃えていたのは、まさにその福島の家だった。消し止めた焼け跡の奥座敷、畳を黒く染める血の中に、惨殺された死体が横たわっている。青木か、松本か、それとも——。やがて浮かび上がるのは、震災前の宝石強盗事件と、一つの暗号めいた符号だった。

登場人物

冒頭部(原文より)

 私は今でもあの夜の光景を思い出すとゾットする。それは東京に大地震があって間もない頃であった。  その日の午後十時過ぎになると、果して空模様が怪しくなって来て、颱風の音と共にポツリポツリと大粒の雨が落ちて来た。其の朝私は新聞に「今夜半颱風帝都に襲来せん」とあるのを見たので役所にいても終日気に病んでいたのだが、不幸にも気象台の観測は見事に適中したのであった。

「琥珀のパイプ」甲賀三郎(青空文庫)

末尾部(原文より)

 お驚きにならないように、尚一つには私の手腕を証拠立てるためと、一つには私の永久の記念のために、あなたの内ポケットに例の琥珀のパイプを入れて置きました。怪しい品ではありません、どうぞ安心してお使い下さい。

「琥珀のパイプ」甲賀三郎(青空文庫)

原文を読む

原文は青空文庫で公開されています(アプリからも同じ本文をダウンロードして縦書きで読めます)。

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