寓話とは
- 分類
- 形式・ジャンル
- 読み
- ぐうわ
人間の生き方や社会への批判を、別の出来事に託して示す短い物語。動物を人間のように話し行動させる例が多いが、植物や器物、あるいは人間を登場させるものもあり、動物の話だけを指すわけではない。物語の表面に描かれる出来事と、その背後にある教訓や風刺とを重ねて読むところに特色がある。代表的な『イソップ物語』では、動物たちの性質や行動を通じて、人間の欲望や弱点、処世の知恵が示される。フランスのラ・フォンテーヌは、イソップなどの伝承を踏まえて韻文の寓話を作り、この形式を詩の表現としても発展させた。日本の近代文学では、夢野久作の『きのこ会議』が、役に立たず毒になれば安全だと説く毒茸たちと、その思惑を裏切る結末を描く。中島敦の『名人伝』(昭和17年)は、弓の達人を目指す紀昌が、ついには弓が何かさえ忘れるという逆説を物語にした例である。寓話は児童向けの教訓話に限らず、人間の価値判断を問い直す表現にもなる。童話や説話と重なる場合もあるが、読者層や伝承の有無より、出来事に別の意味を託す仕組みに着目した呼称である。