童話とは
- 分類
- 形式・ジャンル
- 読み
- どうわ
大正期に確立した、大人の作家が子どものために書き下ろす創作物語のジャンル・呼称。明治期には、巌谷小波が明治24年(1891年)に博文館の「少年文学」叢書の第一編として出した『こがね丸』が近代の児童文学の出発点とされ、小波は昔話を再話した「お伽噺」の書き手として長く子どもの読み物を担った。こうした教訓臭の強い「お伽噺」に代わり、子どもの感性に訴える芸術性の高い読み物を目指す運動として、大正7年(1918年)の鈴木三重吉「赤い鳥」創刊を機に童話は本格化した。三重吉自身も『古事記物語』のような再話文学を手がけ、創刊号には芥川龍之介の『蜘蛛の糸』が、のちには有島武郎の『一房の葡萄』や、昭和7年(1932年)には新美南吉の『ごん狐』が掲載された。「赤い鳥」に続いて「金の船」「童話」などの童話雑誌も相次いで創刊されている。小川未明は『赤いろうそくと人魚』(大正10年)などで、哀しみや孤独を湛えた詩的な童話を書き、「日本のアンデルセン」とも呼ばれた。花巻の宮沢賢治は「赤い鳥」との直接の関わりは薄いものの、生前唯一の童話集『注文の多い料理店』(大正13年)や死後刊行の作品群など、独自の宇宙観・宗教観に基づく幻想的な童話でこのジャンルを代表する作家となった。海外のグリムやアンデルセンの童話も明治以来さかんに翻訳され、創作の手本となった。童話運動は昭和期にかけてさらに広がり、日本の児童文学の基礎を築いた。