昔話とは

分類
形式・ジャンル
読み
むかしばなし

「むかしむかし、あるところに」と語り起こし、決まった結びの句で閉じる、口伝えの物語。時代も場所も特定せず、話の型を守って語られる点で、特定の土地や事物に結びついて事実として信じられた伝説とも、神々の由来を語る神話とも区別される。柳田国男は、外来語の訳語である「民話」を避けて「昔話」という言葉を用い、『桃太郎の誕生』(昭和8年)などで、昔話は神話が崩れて枝分かれしたものだと論じた。のちに関敬吾が『日本昔話大成』で全国の話を型ごとに整理し、比較研究の基礎を築いている。桃太郎・かちかち山・猿蟹合戦・舌切り雀・花咲爺は五大昔話と呼ばれ、いずれも室町末から江戸初期にはその形が整っていた。今日わたしたちが親しんでいる文章の多くは近代の再話によるもので、楠山正雄が大正10年(1921年)に「日本童話宝玉集」のために書いた一連の再話はその代表である。太宰治『お伽草紙』のように、昔話の骨組みを借りて大人の物語を語り直す試みも生まれた。

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