御伽草子とは
- 分類
- 形式・ジャンル
- 読み
- おとぎぞうし
室町時代から江戸時代初期にかけて作られた、作者不詳の短編物語の総称。絵を添えた写本や版本で楽しまれ、その数はおよそ四百編にのぼるとされる。『一寸法師』『浦島太郎』『物くさ太郎』『鉢かづき』『文正草子』などが知られ、貴族を主人公とする王朝物語とは違って、庶民や動物、異類が主人公となり、立身出世や幸福をつかむ話が多い。呼び名は、享保のころ大坂の書肆・渋川清右衛門が二十三編を「御伽文庫」として刊行したことに由来し、のちに同じ種類の物語全体を指す言葉となった。絵とともに読まれたその形は、のちの江戸の草双紙にも通じている。荒唐無稽と評されることもあるが、中世の庶民が何を願い何を怖れたかが率直に刻まれており、説話文学と、近世の仮名草子・浮世草子とをつなぐ位置にある。楠山正雄が大正10年(1921年)に子ども向けへ書き直した『一寸法師』『浦島太郎』のように、近代の再話を通じて今日まで読み継がれている物語も多い。太宰治の『お伽草紙』(昭和20年)は、この呼び名を表題に借りて、「浦島さん」「カチカチ山」などの昔話を大人の物語として語り直した。