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かちかち山(楠山正雄)のあらすじ・登場人物

うしろで鳴るのは、かちかち山

  • 幻想

楠山正雄 1921年(大正10年)

文字数
4,246字
読了目安
約8分
表記
新字新仮名

この作品について

楠山正雄が語り直した日本の昔話。畑を荒らす古だぬきに困ったおじいさんは、わなを仕掛けて捕まえる。たぬきは縛られたまま、おばあさんに自分をほどくよう頼み始める。語り手が聞き手に話しかけるような文章と、登場人物のやり取りが物語を進める。「かちかち」という音をめぐる会話など、繰り返しの調子も耳に残る。楠山が編んだ『日本童話宝玉集』下巻にも収められ、昔話を子どもに読みやすく伝えた仕事の一つである。

あらすじ

むかし、おじいさんの畑を荒らしていた古だぬきが、わなにかかって捕えられた。天井の梁に吊るされたたぬきは、麦をつくおばあさんに「手伝いましょう」と持ちかけ、うまく縄をといてもらう。ところが自由になったとたん、たぬきはきねでおばあさんを打ち殺し、おばあさんに化けて、その汁をおじいさんに食べさせて逃げていった。悲嘆にくれるおじいさんのもとへ、日ごろ親しくしていたうさぎが訪ねてきて、仇を討ってやると約束する。うさぎは栗を欲しがるたぬきに柴を背負わせ、たぬきが背負った柴に火打石で火をつけた。「うしろで何か、かちかち鳴るのは何だい」「この山はかちかち山だからさ」——やがて柴は燃えあがり、たぬきは大やけどを負う。次にうさぎは見舞いに訪れ、唐辛子の味噌をやけどに塗ってやった。飛び上がって苦しむたぬきに、こんどは魚とりに誘いをかける。うさぎは木の舟を、たぬきは土の舟をこしらえ、沖へ出て競争を始めた。土の舟はみるみる水がしみて崩れ出す。「ああ、沈む、沈む、助けてくれ」と叫ぶたぬきに、うさぎはこう言い渡した。「ざまを見ろ。おばあさんをだまして殺して、おじいさんにばばあ汁を食わせたむくいだ」。たぬきはあっぷあっぷいう間もなく、とうとう沈んでしまった。

登場人物

冒頭部(原文より)

 むかし、むかし、あるところに、おじいさんとおばあさんがありました。おじいさんがいつも畑に出て働いていますと、裏の山から一ぴきの古だぬきが出てきて、おじいさんがせっかく丹精をしてこしらえた畑のものを荒らした上に、どんどん石ころや土くれをおじいさんのうしろから投げつけました。

「かちかち山」楠山正雄(青空文庫)

末尾部(原文より)

「ざまを見ろ。おばあさんをだまして殺して、おじいさんにばばあ汁を食わせたむくいだ。」  と言いますと、たぬきはもうそんなことはしないから助けてくれと言って、うさぎをおがみました。そのうちどんどん舟は崩れて、あっぷあっぷいうまもなく、たぬきはとうとう沈んでしまいました。

「かちかち山」楠山正雄(青空文庫)

名文

うさぎさん、うさぎさん、かちかちいうのは何だろう。

火打ち石の音をいぶかるたぬきの問い。うさぎは「この山はかちかち山だからさ」と答える。題名の由来となったやりとりだ。

原文を読む

原文は青空文庫で公開されています(アプリからも同じ本文をダウンロードして縦書きで読めます)。

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