古事記物語(鈴木三重吉)のあらすじ・登場人物
神話をやさしく語り直す
- 歴史
- 文字数
- 96,808字
- 読了目安
- 約3時間14分
- 表記
- 新字新仮名
この作品について
鈴木三重吉が『古事記』の神話と伝説を、子ども向けの平易な文章で語り直した物語集。1920年(大正9)に刊行された。三重吉は1918年に児童雑誌『赤い鳥』を創刊しており、同誌で培った童話の語り口が生かされている。天地のはじまりと神々の誕生、国生み、天の岩屋、八岐大蛇、因幡の白兎、海幸山幸、倭建命と、日本神話の主な場面を順に読める。
あらすじ
世界のはじまり、天と地が生まれたそのときに、高天原に神々が次々とお生まれになった。伊弉諾・伊弉冉の二神は日本の国土と多くの神々を生むが、火の神を生んだ伊弉冉は命を落とし、伊弉諾は妻を慕って黄泉の国を訪ねる――。本書は、こうした『古事記』に伝わる神代から人代までの物語を、鈴木三重吉が子ども向けにやさしく語り直したものである。太陽の女神・天照大神が天の岩屋にこもって世界が闇に包まれる話、須佐之男命の八岐大蛇退治、心やさしい大国主神と因幡の白兎、海の宮をたずねる山幸彦、そして各地を平定してまわる悲劇の英雄やまとたけるの物語まで、雄大で波瀾に富んだ挿話が次々と語られてゆく。やがて物語は神話の時代を離れ、歴代の天皇の御代へと移り、推古天皇に至るまでの日本の始まりの歴史が閉じられる。難しい古典を、子どもが胸をおどらせて読めるあたたかな言葉によみがえらせた、三重吉の児童文学者としての仕事を代表する一冊である。
登場人物
- 伊弉諾神・伊弉冉神 日本の国土と多くの神々を生んだ最初の男神・女神
- 天照大神 太陽の女神。弟の乱暴を嘆いて天の岩屋にこもり、世界を闇に包む
- 須佐之男命 天照大神の弟。出雲で八岐大蛇を退治する
- 大国主神 因幡の白兎を助けた心やさしい神。出雲の国を治める
- やまとたけるの命 各地を平定してまわる悲劇の英雄
冒頭部(原文より)
世界ができたそもそものはじめ。まず天と地とができあがりますと、それといっしょにわれわれ日本人のいちばんご先祖の、天御中主神とおっしゃる神さまが、天の上の高天原というところへお生まれになりました。そのつぎには高皇産霊神、神産霊神のお二方がお生まれになりました。 そのときには、天も地もまだしっかり固まりきらないで、両方とも、ただ油を浮かしたように、とろとろになって、くらげのように、ふわりふわりと浮かんでおりました。その中へ、ちょうどあしの芽がはえ出るように、二人の神さまがお生まれになりました。 それからまたお二人、そのつぎには男神女神とお二人ずつ、八人の神さまが、つぎつぎにお生まれになった後に、伊弉諾神と伊弉冉神とおっしゃる男神女神がお生まれになりました。
「古事記物語」鈴木三重吉(青空文庫)
末尾部(原文より)
天皇は八年の間天下をお治めになった後、おん年三十八歳でおかくれになりました。天皇はお子さまが一人もおありになりませんでした。それでおあとにはお兄上の意富祁王が仁賢天皇としてご即位になりました。 天皇は大和の石上の広高宮へお移りになり、皇后には雄略天皇のお子さまの春日大郎女とおっしゃる方をお立てになりました。 天皇のおつぎには、皇子小長谷若雀命が武烈天皇としてお位におつきになりました。そのおあとには、継体、安閑、宣化、欽明、敏達、用明、崇峻、推古の諸天皇がつぎつぎにお位におのぼりになりました。
「古事記物語」鈴木三重吉(青空文庫)
原文を読む
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