本意とは
- 分類
- その他
- 読み
- ほんい
和歌・連歌・俳諧で、ある題材や題が本来備えているとされる、もっともそれらしい性質や情趣。たとえば春の曙は艶なるもの、秋の夕暮は寂しくあわれなものとして詠むというように、題ごとにふさわしい心のあり方が、先人の歌の積み重ねを通して共有されていた。平安時代後期、あらかじめ決められた題で歌を詠む題詠や百首歌が定着すると、題の本意をふまえて詠むことが重んじられるようになり、建久4年(1193年)ごろの六百番歌合にも、題の本意にかなわない点を指摘する批評が見える。歌人は古歌を学んで題の伝統的な理解を身につけ、それを外さずに新しい表現を工夫することを求められた。題詠の恋の歌を作者の実体験と直結させられないのも、本意に沿って詠むことが前提とされていたためである。本意の考え方は連歌に受け継がれ、連歌論では景物ごとの本意がさかんに論じられた。さらに俳諧でも、季題の本意は句の表現を支える土台とされ、季語にそれぞれ伝統的な美意識がまつわっているのはこの流れによる。松尾芭蕉は伝統的な本意を踏まえつつ、そこに新しい見方を加えたと評される。一般の語としての本意は、本来の意志や本心の意で、この意味では「ほい」とも読む。