枕詞とは

分類
文体・技法
読み
まくらことば

和歌で、特定の語を導き出すためにその前に置かれる決まり文句。原則として五音から成り、「あしひきの」は山を、「ひさかたの」は光や天を、「たらちねの」は母を、「ぬばたまの」は黒や夜を、「あをによし」は奈良を、「あかねさす」は日や紫を導くというように、どの語を導くかがほぼ決まっている点に特色がある。多くは現代語に訳す必要がなく、調子を整えるとともに、その語に古くからの連想と格調を添える働きをする。『万葉集』にとりわけ豊富に用いられ、由来や意味が上代の時点ですでに分からなくなっていたものも少なくない。同じく前置きの句である序詞が、七音以上に及ぶ長さを持ち、導く語も決まっていない一首かぎりの創作であるのに対し、枕詞は短く、慣用として代々受け継がれる点で異なる。後世には形式的に用いられることが多くなり、近代短歌では万葉調を重んじたアララギ派の歌人などが用いたものの、全体としては少なくなった。それでも、日本語の韻文が古い言葉の記憶を抱えこんで成り立っていることを、何よりよく示す技法である。

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