世間胸算用とは

分類
形式・ジャンル
読み
せけんむなざんよう

元禄5年(1692年)に刊行された井原西鶴の浮世草子で、町人物の一つ。全五巻二十話。副題は「大晦日は一日千金」。当時、商取引は掛け売りが中心で、代金の支払いは節季(盆と大晦日)にまとめて行われた。借金取りと、返済を逃れようとする町人たちが、大晦日の一日にぶつかり合う滑稽で切実な様子を、さまざまな人物の悲喜劇として描く。『日本永代蔵』が立身出世の成功と失敗を語るのに対し、こちらは、金に追われる庶民の暮らしの苦しさに目を向け、暗い現実を笑いに包んで語る。各話は、借金取りを口先で追い返す者、質に入れる物もなく年を越せない者、見栄を張って行き詰まる者などを、短く鋭い筆で切り取る。大晦日という一日に時間を限り、一話ごとに異なる家の内情をのぞかせる構成は、西鶴の観察の確かさをよく示し、晩年の作風を伝える一冊となっている。

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