町人物とは

分類
形式・ジャンル
読み
ちょうにんもの

井原西鶴の浮世草子のうち、町人が金銭と才覚によって富を築き、あるいは失う姿を描いた作品群。西鶴の作品は好色物・武家物・町人物・雑話物に分けられ、町人物には『日本永代蔵』(貞享5年・1688年)と『世間胸算用』(元禄5年・1692年)がある。『日本永代蔵』は副題を「大福新長者教」といい、六巻三十章で、町人の立身の手口と没落を描く。朝夕の算用と始末、家業への精励が長者になる道だと説きながら、説教に偏らず、人の欲と才覚をおかしみをもって見つめた。『世間胸算用』は副題を「大晦日は一日千金」といい、借金の清算に追われる大晦日の一日だけを舞台に、二十の短い話で貧富の哀歓を描いて、西鶴最晩年の筆の冴えを示す。同じ年には武士の義理を描く武家物『武家義理物語』(貞享5年・1688年)も出ているが、町人物は読み物としての面白さに加え、町人が社会の担い手となった元禄期の金銭感覚や暮らしの手触りを伝える資料としても貴重である。

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