心象スケッチとは
- 分類
- 形式・ジャンル
- 読み
- しんしょうすけっち
宮沢賢治が自分の詩を呼んだ言葉。心に映ったもの(心象)を、そのとおりに書き取った記録という意味をこめる。大正13年(1924年)4月、賢治は東京の関根書店から生前唯一の詩集を自費出版したが、その題は『心象スケッチ 春と修羅』であった。序では「わたくしといふ現象は/仮定された有機交流電燈の/ひとつの青い照明です」とうたい起こし、収めた作品を、過去二十二か月のあいだに紙と鉱質インクで書きとめた「かげとひかりのひとくさりづつ/そのとほりの心象スケッチです」と位置づけた。賢治はのちに書簡でも、これらは詩ではなく心象のスケッチにすぎないと述べている。多くの作品に日付が付され、岩手の自然や農村の風景、鉱物・天文・化学の語彙、仏教的な世界観、そして妹トシの死をうたう「永訣の朝」などの絶唱が、日記のような即時性と幻想とをあわせ持って記される。賢治はその後も心象スケッチを書き継ぎ、花巻農学校の教師時代の作品は『春と修羅 第二集』として死後に刊行された。従来の詩の型にとらわれないこの書き方は、日本の口語自由詩のなかでも独自の位置を占める。