春と修羅 第二集(宮沢賢治)のあらすじ・登場人物
農学校教師時代の心象スケッチ
- 文字数
- 45,343字
- 読了目安
- 約1時間31分
- 表記
- 新字旧仮名
- 舞台
- 岩手県
この作品について
生前唯一の詩集「春と修羅」に続けて宮沢賢治が編んだ、第二の心象スケッチ集。花巻農学校の教師だった四年間の後半二年の手記から選ばれ、教室と実習田、汽車と雪の街道、農民たちの労働が、日付入りの詩として記録されている。刊行は果たされず、賢治の死後にはじめて世に出た。
あらすじ
「この一巻は/わたくしが岩手県花巻の/農学校につとめて居りました四年のうちの/終りの二年の手記から集めたものでございます」——序は口語のままの独白で書かれている。その四年間はじつに愉快な明るいものだった、と賢治は言う。毎日わずか二時間ほどの授業と軽い実習で相当の俸給を保証され、すきな子供らにごちそうもやれる安固な待遇にいた。だが、いつしかそれに慣れ、他人の着物の枚数や毎食の蛋白質の量を多めに計算していた嫌いがある——教職を辞して「ぼろぼろに戻って」みたいまは、そう思われる、と。収められた詩は制作日付と通し番号を付されて並ぶ。雪の田圃を光らせながら走る岩手軽便鉄道、並木の松から薪をとっている兄弟、生徒たちとの実習、堆肥と稲、そして病と疲労。「ぴかぴかぴかぴか田圃の雪がひかってくる/河岸の樹がみなまっ白に凍ってゐる」——「岩手軽便鉄道の一月」では、くるみ、かわやなぎ、はんのき、からまつと車窓を過ぎる木々に学名めいた呼びかけを重ね、氷華がふさふさ風に光って落ちるさまが歌われる。第一集の激越な修羅の叫びは影をひそめ、農村の日々の細部に眼を凝らす、静かな観察の詩がここには並んでいる。
冒頭部(原文より)
序 この一巻は わたくしが岩手県花巻の 農学校につとめて居りました四年のうちの 終りの二年の手記から集めたものでございます この四ヶ年はわたくしにとって じつに愉快な明るいものでありました
「春と修羅 第二集」宮沢賢治(青空文庫)
末尾部(原文より)
四〇三 岩手軽便鉄道の一月 一九二六、一、一七、 ぴかぴかぴかぴか田圃の雪がひかってくる 河岸の樹がみなまっ白に凍ってゐる うしろは河がうららかな火や氷を載せて ぼんやり南へすべってゐる よう くるみの木 ジュグランダー 鏡を吊し よう かはやなぎ サリックスランダー 鏡を吊し
「春と修羅 第二集」宮沢賢治(青空文庫)
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