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阿部定という女(浅田一博士へ)(坂口安吾)のあらすじ・登場人物

お定は最も女らしい女

坂口安吾 1948年(昭和23年)1月 「Gメン」

文字数
1,734字
読了目安
約3分
表記
新字新仮名
種別
随筆

この作品について

1948年(昭和23年)1月、雑誌「Gメン」に載った手紙の形の文章。宛先は浅田一博士。安吾が阿部定と対談した感想を伝え、事件に犯罪性はなく、お定さんは最も女らしい平凡な女だったと述べる。さらに話は、男女の肉体生活を公開の場で合理的に論じる必要へと広がる。短い書簡だが、同じ時期の「阿部定さんの印象」と並べて読むと考えの筋が見える。

あらすじ

手紙は、探偵小説を雑誌に連載中だという近況から始まる。安吾は先日、ある雑誌の依頼で阿部定と対談し、非常に有益だったと書く。女は男次第で成長変化するもので、相手の吉さんにはマゾヒズムの傾向があり、お定さんは一番女らしい女、東京下町育ちの平凡な女だったという。お定さんは三十三歳の吉さんとの恋が一代の恋で、後悔もしていないと語った。事件には犯罪性がなく、息絶えた吉さんの形見をとることも最も女らしい行いで、八百屋お七が娘の狂恋なら、お定さんは女の恋だと安吾は言う。そして、こうした事件を世間が正しく理解するため、男女の肉体生活の合理性がもっと公開で議論されるべきだと述べ、精神分析学を高く評価しつつ、タブーを合理的に減らしていく作業の必要を説く。自分の文学は誤読されているが、過渡期に絶望はしていないと結び、温泉へ仕事に行くことを伝えて筆を置く。

冒頭部(原文より)

 御手紙本日廻送、うれしく拝見致しました。先日色々御教示仰ぎました探偵小説は目下『日本小説』という雑誌へ連載しておりますが、全部まとまりましたら、御送付致すつもりでおります。  先日、ある雑誌の依頼で例の阿部定さんと対談しましたが、私には、非常に有益なものでした。

「阿部定という女(浅田一博士へ)」坂口安吾(青空文庫)

末尾部(原文より)

 私は精神分析学を高く評価するものですが、我々の精神肉体の合理的な平衡を増大するためにはタブーというものを合理的になしくずしに減らして行く、そういう理性的な発掘と建築作業が行われなければならないと思うものです。  いずれ又、お目にかゝって、ゆっくり色々お話をうかゞいたいと思います。私は三十一日から、約一カ月ぐらい仕事のために温泉へ行きますが(東京は電燈がつきませんので)いずれ帰京の上、お目にかゝる日をたのしみに致しております。

「阿部定という女(浅田一博士へ)」坂口安吾(青空文庫)

原文を読む

原文は青空文庫で公開されています(アプリからも同じ本文をダウンロードして縦書きで読めます)。

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