世に出るまで(坂口安吾)のあらすじ・登場人物
スポーツ少年から作家へ
- 文字数
- 7,557字
- 読了目安
- 約15分
- 表記
- 新字新仮名
- 種別
- 随筆
この作品について
坂口安吾が、少年期から作家として世に出るまでを振り返った自伝的な随筆。スポーツに熱中した中学時代、僧になるために学校へ入って神経衰弱になったこと、アテネ・フランセの仲間と出した同人誌と「風博士」の評判、尾崎士郎との決闘騒ぎ、京都や小田原での暮らし、戦中の貧乏を率直な語りで綴る。初出は図書カードに記載がない。
あらすじ
少年期の筆者は小説よりスポーツに夢中で、授業を休んで海辺やパン屋で寝ころび、百人一首の同好会を作った。上京後はチェーホフを英訳で読み、中学を出ると僧になる学校へ入るが、勉強しすぎて神経衰弱になり、外国語の辞書を引き続けて治す。アテネ・フランセの仲間と同人誌『言葉』『青い馬』を出して「風博士」を書くと、牧野信一に激賞され、数え年二十六歳で新進作家になった。矢田津世子への報われない恋、尾崎士郎との決闘騒ぎ、京都で長編『吹雪物語』を書いた日々、小田原で三好達治の居候になったこと、戦争中の貧乏を述べ、貧乏の物語が笑い話でなくなった戦後に、文学への情熱を感じたと結ぶ。
冒頭部(原文より)
私は少年期にはスポーツに熱中していたので、小説なぞには興味がなく、立川文庫のほかにはスポーツ関係の読書が主であった。野球界という雑誌は当時からあったし、ファンという野球雑誌、それに陸上競技の雑誌もあった。
「世に出るまで」坂口安吾(青空文庫)
末尾部(原文より)
私の貧乏は好んでのことであるからよろしいのだが、あの食糧事情は人々の好まざる運命だから気の毒だ。上には上があるものだ。私の貧乏すらも及ばぬという現実を見出したときに、私はあべこべに文学への迸しるような情熱を感じた。戦後の一時期はそんな風に何かに押しまくられた感じで書いたものであった。
「世に出るまで」坂口安吾(青空文庫)
原文を読む
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