あきあはせ(樋口一葉)のあらすじ・登場人物
秋の音と影を綴る四景
- 文字数
- 3,095字
- 読了目安
- 約6分
- 表記
- 新字旧仮名
- 種別
- 随筆
この作品について
樋口一葉の秋をめぐる随想集。短い序のあとに「雨の夜」「月の夜」「雁がね」「虫の声」の四つの小品が並ぶ。雨音、月影、雁の声、虫の音と、秋ごとに耳目へ届くものから亡き人や過ぎた日の記憶へ筆が及ぶ。底本は小学館『全集樋口一葉 第二巻 小説編二』。
あらすじ
序に、頭の重い日が続いて初ほととぎすが鳴く頃に、去年の秋袷を取り出すのはさすがに気がきかないと書き、四つの小品に入る。「雨の夜」は、芭蕉の葉に降る秋雨の夜、縫い物をしながら亡き師や老いた親を思う。「月の夜」は、月影や池に映る月、月夜の客を待ちわびる心を書く。「雁がね」は、かつて下谷で小商いをしていた頃、月も見えない秋の夜に往来で空を仰ぎ、仲間を失ったような一羽の雁の声に歌の友を恋しく思った思い出である。「虫の声」は、鳴き弱っていく松虫や鈴虫を語り、病床の兄のために飼っていた松虫を放した思い出を書く。翌年の秋、近くの垣根の内で同じような声がして亡き人をしのんだことを記し、虫の声を聞くたびにその人との別れのように思われると結ぶ。
冒頭部(原文より)
あやしうつむりのなやましうて、夢のやうなるきのふ今日、うき世はしげるわか葉のかげに、初ほとゝぎすなきわたる頃を、こぞの秋袷ふるめかしう取出ぬる、さりとは心もなしや。垣の竹の子きぬゝぎすてゝ、まき葉にかゝる朝露の新らしきを見るもいと恥かしうこそ。
「あきあはせ」樋口一葉(青空文庫)
末尾部(原文より)
今も松虫の声きけばやがてその折おもひ出られて物がなしきに、籠に飼ふ事は更にも思ひ寄らず、おのづからの野辺に鳴弱りゆくなど、唯その人の別れのやうに思はるゝぞかし。
「あきあはせ」樋口一葉(青空文庫)
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