アプリで読む

無料・登録不要

別れ霜(樋口一葉)のあらすじ・登場人物

引き裂かれた幼い許婚

  • 恋愛
  • 心理

樋口一葉 1892年(明治25年)4月 「改進新聞」

文字数
21,742字
読了目安
約43分
表記
旧字旧仮名
種別
小説
舞台
  • 東京都

この作品について

樋口一葉が1892年(明治25)4月から『改進新聞』に連載した小説。強欲な呉服商の策略で本家が没落し、幼い許婚どうしが引き離される。一葉が新聞に連載した数少ない作品の一つで、通俗的な筋立ての中に、若い男女の境遇を描く初期作である。

あらすじ

内神田連雀町の呉服商・新田運平は、赤ら顔の強欲な男で、本家筋にあたる同業の松澤家の隆盛をねたんでいた。運平は、松澤に貸した金の返済を口実に訴訟を起こし、番頭の勘藏と謀って松澤の家・蔵・暖簾までも我が手に奪い取る。松澤家は零落し、一人息子で運平の娘お高の許婚であった芳之助は、病んだ両親を養うため車夫に身を落とす。恨みに沈む芳之助と、籠の鳥の身で文も出せぬお高は、たがいの心をはかりかねてすれ違う。ある雪の夜、お高は音曲の会の帰りに、車夫となった芳之助の車をそれと知って雇い、遠回りの末に割烹店へ誘い込んで再会を果たす。だが芳之助の父・儀右衛門は、人非人の運平の娘を嫁にはできぬとお高をつめたく追い返す。縁を裂かれ、行き場を失った二人は、先祖代々の墓所で死をもってわが心を示そうと、情死を決意する。しかし追ってきた勘藏が割って入り、ひらめく白刃のもと、連理の片枝はあえなく散る――芳之助は落命し、お高は死にきれず、七年ものあいだ座敷牢に閉じ込められる。悔い改めたと見せかけて油断させたお高は、ついにある明け方に脱け出し、鴛鴦の塚のうえで芳之助のあとを追うのだった。

登場人物

冒頭部(原文より)

莊子が蝶の夢といふ世に義理や誠は邪魔くさし覺め際まではと引しむる利慾の心の秤には黄金といふ字に重りつきて増す寶なき子寶のうへも忘るゝ小利大損いまに初めぬ覆車のそしりも我が梶棒には心もつかず握つて放さぬ熊鷹主義に理窟はいつも筋違なる内神田連雀町とかや、友囀りの喧しきならで客足しげき呉服店あり。

「別れ霜」樋口一葉(青空文庫)

末尾部(原文より)

渝らぬ契りの誰れなれや千年の松風颯々として血汐は殘らぬ草葉の緑と枯れわたる霜の色かなしく照らし出だす月一片何の恨みや吊ふらん此處鴛鴦の塚の上に。

「別れ霜」樋口一葉(青空文庫)

原文を読む

原文は青空文庫で公開されています(アプリからも同じ本文をダウンロードして縦書きで読めます)。

青空文庫の図書カード

同じ作家の作品

近い作品