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悪魔の弟子(浜尾四郎)のあらすじ・登場人物

私はあなたを恨みます。呪います

  • ミステリ
  • 心理

浜尾四郎 1929年(昭和4年)7月 「新青年」

文字数
25,215字
読了目安
約50分
表記
新字新仮名
種別
小説
舞台
  • 東京都

この作品について

1929年(昭和4年)、「新青年」に発表された浜尾四郎の代表作。全編が、美人殺しの犯人として収容された未決囚・島浦英三から、かつての親友である検事・土田八郎に宛てられた手紙で成り立っている。学生時代、兄とも恋人とも慕った男。その雄弁と論理に導かれ、「悪魔の弟子」となった自分。妻を殺そうと企てながら、なぜ愛人の死体の傍らに立っていたのか——。検事・弁護士として法廷を知る作者が、犯罪者の内面と法の論理の双方から書ききった、書簡体の傑作である。

あらすじ

「一未決囚徒たる私、即ち島浦英三は、其の旧友にして嘗ては兄弟より親しかりし土田検事殿に、此の手紙を送ります」——美人殺しの犯人として新聞を賑わせた男が、同じ裁判所にいる旧友の検事に宛てて長い手紙を書きはじめる。二人は学生時代、寮生から「パール(一対)」と呼ばれるほどの仲だった。三つ年上の土田は秀才で雄弁で、島浦は彼を兄とも恋人とも感じ、その言うことのすべてを正しいと信じた。だが土田は別の美しい青年に心を移し、二人は突然に別れる。捨てられて自分を見つめ直した島浦は、土田という人間の正体を見透したと書く。あなたは悪魔です、人の肉を食っただけでは飽きたらず、その魂まで地獄に堕さねばやまぬ——酒を知らぬ少年に酒を飲ませて苦しむさまを眺め、自分は決して盃を手にしない人なのだ、と。そして島浦は、自分がいかにして妻を殺そうと決意し、どのような準備をしたかを克明に綴ってゆく。だが検挙されたのは、まったく別の女の死をめぐってであった。面会に来た妻の帯から覗く薬包紙を見た瞬間、失われていた記憶が閃光のように戻ってくる。

登場人物

冒頭部(原文より)

一  ××地方裁判所検事土田八郎殿。  一未決囚徒たる私、即ち島浦英三は、其の旧友にして嘗ては兄弟より親しかりし土田検事殿に、此の手紙を送ります。  検事殿、あなたは私を無論思い出して居らるる事でしょうね。仮令他の検事によって取り調べられ、次で予審判事の手に移されてしまった私であっても、あの、世間を騒がした美人殺しの犯人として伝えられ、新聞紙上に其の名を謳われたに違いない以上、同じ裁判所に居るあなたが、今度の事件に就て私の名を見ない筈はなく、又聞かない筈もありません。

「悪魔の弟子」浜尾四郎(青空文庫)

末尾部(原文より)

 然し、露子に対する私の法律上の責任は、無論逃れ得ないわけであります、又逃れる気もちもありません。  永々と記して、あなたの判読を煩わしたことを謝します。土田さん、三たびあなたに、あの友情の名に於てよびかけます。どうか、私を信じて下さい。そうして私の云う事を信じて下さい。

「悪魔の弟子」浜尾四郎(青空文庫)

原文を読む

原文は青空文庫で公開されています(アプリからも同じ本文をダウンロードして縦書きで読めます)。

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