或恋愛小説(芥川龍之介)のあらすじ・登場人物
恋愛小説を注文された作家の対話
- 文字数
- 4,757字
- 読了目安
- 約10分
- 表記
- 新字新仮名
- 種別
- 小説
この作品について
芥川竜之介の「保吉物」の一編。ある婦人雑誌の主筆から「真面目な恋愛小説」を注文された作家・堀川保吉が、その注文をめぐって主筆と交わす、機知に富んだ対話。恋愛小説とは何かをめぐる、軽妙な皮肉に満ちた一幕である。
あらすじ
ある婦人雑誌社の面会室。でっぷり肥った主筆が、痩せた作家・堀川保吉に、「もっと深い人間性に根ざした、真面目な恋愛小説を書いて頂きたい」と注文する。読者も高級になり、在来の恋愛小説には満足しなくなっている、というのだ。だが保吉は、その注文をのらりくらりとかわしながら、そもそも恋愛小説とは何か、真面目とはどういうことかをめぐって、主筆と機知に富んだ問答を繰り広げる。話が噛み合わないまま、保吉はついに「じゃどこかほかへ載せて貰います。広い世の中には一つくらい、わたしの主張を容れてくれる婦人雑誌もあるはずですから」と言い放つ。そして——「保吉の予想の誤らなかった証拠はこの対話のここに載ったことである」。対話そのものが一編の「恋愛小説」として成立してしまうという、芥川一流の皮肉と機知に満ちた小品である。
登場人物
- 堀川保吉 作家
- 主筆 婦人雑誌の主筆
冒頭部(原文より)
ある婦人雑誌社の面会室。 主筆 でっぷり肥った四十前後の紳士。 堀川保吉 主筆の肥っているだけに痩せた上にも痩せて見える三十前後の、――ちょっと一口には形容出来ない。(……) 主筆 今度は一つうちの雑誌に小説を書いては頂けないでしょうか? (……)もっと深い人間性に根ざした、真面目な恋愛小説を書いて頂きたいのです。
「或恋愛小説」芥川龍之介(青空文庫)
末尾部(原文より)
保吉 そうですか? じゃどこかほかへ載せて貰います。広い世の中には一つくらい、わたしの主張を容れてくれる婦人雑誌もあるはずですから。 保吉の予想の誤らなかった証拠はこの対話のここに載ったことである。
「或恋愛小説」芥川龍之介(青空文庫)
原文を読む
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