あたらしい憲法のはなし(文部省)のあらすじ・登場人物
あたらしい憲法ができました
- 社会
- 文字数
- 20,832字
- 読了目安
- 約42分
- 表記
- 旧字新仮名
この作品について
日本国憲法の施行にあわせ、文部省が中学一年生の社会科教科書として1947年に発行した小冊子。主権在民・戦争放棄・基本的人権を、「みなさん」と語りかける平易なことばで説く。とりわけ戦争放棄の章で、いっさいの兵力を持たないと決めた憲法を「たいへんりっぱなこと」と讃えたくだりは名高い。教科書としての使用は数年で終わったが、憲法入門の名文としてくり返し復刻されている。
あらすじ
「みなさん、あたらしい憲法ができました」——そう語りかけて、この小さな教科書ははじまる。国を家にたとえるなら、憲法は柱にあたるいちばん大事な規則であり、そこには国の治めかたと、国民の「基本的人権」という二つのことが書かれている、と説き起こす。続く各章では、民主主義とは国民ぜんたいで国を治めることであり、その主権が天皇から国民へ移ったこと(主権在民)、天皇は日本国と国民統合の象徴となられたこと、そして戦争の放棄が語られる。「こんどの憲法では、日本の国が、けっして二度と戦争をしないように、二つのことをきめました。その一つは、兵隊も軍艦も飛行機も、およそ戦争をするためのものは、いっさいもたないということです」。それは決して国を危うくするのではなく、世界にさきがけて正しいことを行うのだと、子どもたちに向かって語られる。以下、基本的人権、国会・内閣・裁判所の役割、財政、地方自治、改正の手続きへと進み、最後の「最高法規」の章で、基本的人権はこれからも侵すことのできない永久の権利であることを確かめる。そして「あたらしい憲法は、日本国民がつくった、日本国民の憲法です。これからさき、この憲法を守って、日本の国がさかえるようにしてゆこうではありませんか」と呼びかけて閉じられる。
冒頭部(原文より)
みなさん、あたらしい憲法ができました。そうして昭和二十二年五月三日から、私たち日本國民は、この憲法を守ってゆくことになりました。このあたらしい憲法をこしらえるために、たくさんの人々が、たいへん苦心をなさいました。ところでみなさんは、憲法というものはどんなものかごぞんじですか。じぶんの身にかゝわりのないことのようにおもっている人はないでしょうか。もしそうならば、それは大きなまちがいです。
「あたらしい憲法のはなし」文部省(青空文庫)
末尾部(原文より)
このように大事な憲法は、天皇陛下もこれをお守りになりますし、國務大臣も、國会の議員も、裁判官も、みなこれを守ってゆく義務があるのです。また、日本の國がほかの國ととりきめた約束(これを「條約」といいます)も、國と國とが交際してゆくについてできた規則(これを「國際法規」といいます)も、日本の國は、まごころから守ってゆくということを、憲法できめました。 みなさん、あたらしい憲法は、日本國民がつくった、日本國民の憲法です。これからさき、この憲法を守って、日本の國がさかえるようにしてゆこうではありませんか。
「あたらしい憲法のはなし」文部省(青空文庫)
名文
しかしみなさんは、けっして心ぼそく思うことはありません。日本は正しいことを、ほかの國よりさきに行ったのです。世の中に、正しいことぐらい強いものはありません。
新憲法の施行にあわせて文部省が中学生向けに発行した教科書の、「戦争の放棄」の章の一節。戦力を捨てることを心細く思わなくてよいと、子どもたちにやさしく語りかけている。
原文を読む
原文は青空文庫で公開されています(アプリからも同じ本文をダウンロードして縦書きで読めます)。