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芭蕉雑記(芥川龍之介)のあらすじ・登場人物

芭蕉を十三の断章で読む

芥川龍之介 1923年(大正12年)11月 「新潮」

文字数
12,755字
読了目安
約26分
表記
新字旧仮名
種別
随筆

この作品について

芥川龍之介が芭蕉について、「著書」「装幀」「自釈」「詩人」「俗語」「耳」「画」「衆道」「鬼趣」など十三の短い章に分けて書いた随想。芭蕉自身の言葉や門人の記録を引き、感心したり、微笑したりしながら、「詩人」芭蕉の人間くささと、談林時代の怪談調や無常観の底に漂う凄みまでを語る。「新潮」に1923年11月から翌年7月にかけて掲載された。

あらすじ

芭蕉は一巻の書も著したことがなく、七部集も門人の編んだものだという話から始まる。芥川は、芭蕉が集の編纂を名聞を求める行為だと言いながら、蕉風の集を編むことはその例外だとしている矛盾を、微笑とともに指摘する。以下、装幀や自釈、詩人芭蕉の位置、未来の評価、俗語の使い方、耳の鋭さ、画への関心、衆道、海の彼方の文学との比較など、短い断章が十三続く。後半の「鬼趣」では、芭蕉が生きた延宝から元禄の時代に怪談小説が流行したことを述べ、談林時代の芭蕉(桃青)が信徳・其角らと付けた句には、当時の怪談小説よりも凄みのある鬼気が漂うと評する。蕉風を樹立してからは鬼趣と縁を切ったが、無常の意を寓した作品にはいつも言い難い鬼気が宿ると結ぶ。

冒頭部(原文より)

 芭蕉は一巻の書も著はしたことはない。所謂芭蕉の七部集なるものも悉門人の著はしたものである。これは芭蕉自身の言葉によれば、名聞を好まぬ為だつたらしい。

「芭蕉雑記」芥川龍之介(青空文庫)

末尾部(原文より)

 是等の作品の或ものは滑稽であるのにも違ひない。が、「痩せたる馬の影」だの「槌を子に抱く」だのの感じは当時の怪談小説よりも寧ろもの凄い位である。芭蕉は蕉風を樹立した後、殆ど鬼趣には縁を断つてしまつた。しかし無常の意を寓した作品はたとひ鬼趣ではないにもせよ、常に云ふ可らざる鬼気を帯びてゐる。

「芭蕉雑記」芥川龍之介(青空文庫)

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