ぼろぼろな駝鳥(高村光太郎)のあらすじ・登場人物
動物園の駝鳥への抗議
- 文字数
- 231字
- 読了目安
- 約1分
- 表記
- 新字旧仮名
この作品について
「何が面白くて駝鳥を飼うのだ。」——動物園の狭い檻に押しこめられた駝鳥に向けて、高村光太郎が投げつけた十三行の詩。ぼろぼろの羽、遠くばかり見ている眼、無辺大の夢で逆巻く小さな頭。教科書でもおなじみの、近代詩でもっとも短く鋭い抗議の詩である。
あらすじ
「何が面白くて駝鳥を飼うのだ。」——詩はいきなりの問いかけで始まる。動物園の四坪半のぬかるみの中では、脚が大股すぎるじゃないか。頸があんまり長すぎるじゃないか。雪の降る国にこれでは羽がぼろぼろすぎるじゃないか。腹が減るから堅パンも食うだろうが、駝鳥の眼は遠くばかり見ているじゃないか。身も世もないように燃えているじゃないか。瑠璃色の風が今にも吹いてくるのを待ちかまえているじゃないか。あの小さな素朴な頭が、無辺大の夢で逆巻いているじゃないか——。同じ「じゃないか」という問いかけが畳みかけられるにつれ、檻の中の駝鳥はもはや見世物の鳥ではなくなり、故郷の風を待ちつづける一個の魂として立ち上がってくる。そして詩人は言い切る。「これはもう駝鳥ぢゃないぢゃないか。」——最後の二行はもはや駝鳥ではなく、飼う側に向けられている。「人間よ、/もう止せ、こんな事は。」
冒頭部(原文より)
何が面白くて駝鳥を飼うのだ。 動物園の四坪半のぬかるみの中では、 脚が大股過ぎるぢゃないか。 頚があんまり長過ぎるぢゃないか。 雪の降る国にこれでは羽がぼろぼろ過ぎるぢゃないか。
「ぼろぼろな駝鳥」高村光太郎(青空文庫)
末尾部(原文より)
あの小さな素朴な頭が無辺大の夢で逆まいてゐるぢゃないか。 これはもう駝鳥ぢゃないぢゃないか。 人間よ、 もう止せ、こんな事は。
「ぼろぼろな駝鳥」高村光太郎(青空文庫)
原文を読む
原文は青空文庫で公開されています(アプリからも同じ本文をダウンロードして縦書きで読めます)。