文芸鑑賞講座(芥川龍之介)のあらすじ・登場人物
傑作に親しめという鑑賞の心得
- 文字数
- 10,841字
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- 約22分
- 表記
- 新字旧仮名
この作品について
芥川龍之介の鑑賞論。文藝春秋の「文芸講座」に、1924(大正13)年10月から翌年4月にかけて三回に分けて載った。文芸作品を鑑賞するには素質と訓練が要ること、「どう鑑賞するか」「何を鑑賞するか」「どんな鑑賞の議論を参考にするか」の三点を、ロダンやルノワールの逸話を交えて講義口調で語る。
あらすじ
文芸的素質のない者は傑作に接しても鑑賞の盲人に終わるが、素質は程度の問題で、文芸に興味のある人は己惚れてかかってよいと始める。素質があっても訓練が要り、鑑賞力を深めることは創作にも役立つとして、ミケランジェロの未完成の彫刻に打たれて成長したロダンを例に挙げる。次に鑑賞の方法として、まず文字を読んで情緒的にも理解すること、作品に素直に面して先入観を少なくすることを説く。何を鑑賞するかについては、骨董と同じく傑作ばかりに親しめと言い、トルストイやドストエフスキーなど新しい古典を薦める。参考にする議論には、批評家よりも作家の書いた議論や苦心談が有益だとして結ぶ。
冒頭部(原文より)
文芸上の作品を鑑賞する為には文芸的素質がなければなりません。文芸的素質のない人は如何なる傑作に親んでも、如何なる良師に従つても、やはり常に鑑賞上の盲人に了る外はないのであります。文芸と美術との相違はありますが、書画骨董を愛する富豪などにかう云ふ例の多いことは誰でも知つてゐる事実でありませう。しかし文芸的素質の有無と云ふことも程度によりけりでありますから、テエブルや椅子の有無のやうに判然ときめる訳には行かないのであります。
「文芸鑑賞講座」芥川龍之介(青空文庫)
末尾部(原文より)
元来「鑑賞講座」などと言ふものはいくらでも話す事はあるものであります。しかし最初に挙げた三問題だけは兎に角話してしまひましたから、これでひとまづ打ち切ることにします。何だか愈打ち切るとなると、丁度碌に体も拭かずに湯を上つた時のやうな、物足りなさに似たものもありますが、それは「文芸講座」の都合上やむを得ないことと思はなければなりません。その辺はどうか大目に見て下さい。
「文芸鑑賞講座」芥川龍之介(青空文庫)
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