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近頃の幽霊(芥川龍之介)のあらすじ・登場人物

英米の怪談に見る幽霊の変貌

芥川龍之介 1922年(大正11年)1月

文字数
2,739字
読了目安
約5分
表記
新字旧仮名
種別
随筆

この作品について

芥川龍之介の談話筆記。1922(大正11)年1月の談話で、英米の小説に現れる近頃の幽霊を紹介する。第一次大戦後に増えた戦争にまつわる幽霊譚、心霊学の影響で科学的になった幽霊の書き方、ブラックウッドやビアスの怪異の描写などを、具体的な作品を挙げて語る。

あらすじ

英米の小説に出てくる幽霊が、昔のゴシック式の怪談から、心霊学の進歩を受けて科学的な書き方に変わったことを紹介する談話である。大戦以後は戦争に関わる幽霊譚が目立ち、ワシントンの幽霊が出征軍を助けに行く話などが挙がる。ブラックウッドの心霊学者ジョン・サイレンスや、柳のエレメンタルスの話、ビアスの「第四の空間」に迷いこむ少年や、見えない怪物の話が続く。最後は、西洋の幽霊はたいてい骸骨か着物姿で裸のものがないと指摘し、誰かが裸の幽霊の小説を書けば前人未発の新天地だろうと、冗談めかして結ぶ。

冒頭部(原文より)

西洋の幽霊――西洋と云つても英米だけだが、その英米の小説に出て来る、近頃の幽霊の話でも少ししませう。少し古い所から勘定すると、英吉利には名高い「オトラントの城」を書いたウオルポオル、ラドクリツフ夫人、マテユリン(この人の「メルモス」は、バルザツクやゲエテにも影響を与へたので有名だが)、「僧」を書いて僧ルイズの渾名をとつたルイズ、スコツト、リツトン、ボツグなどがあるし、亜米利加にはポオやホウソオンがあるが、幽霊――或は一般に妖怪を書いた作品は今でも存外少くない。

「近頃の幽霊」芥川龍之介(青空文庫)

末尾部(原文より)

この位で御免蒙りますが、西洋の幽霊は一体に、骸骨でなければ着物を着てゐる。裸の幽霊と云ふのは、近頃になつても一つも類がないやうです。尤も怪物には裸も少くない。今のオオブリエンの怪物も、確毛むくぢやらな裸でした。その点では幽霊は、人間より余程行儀が好い。だから誰か今の内に裸の幽霊の小説を書いたら、少くともこの意味では前人未発の新天地を打開した事になる筈です。

「近頃の幽霊」芥川龍之介(青空文庫)

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