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道程(高村光太郎)のあらすじ・登場人物

前に道はない、後ろに道は出来る

高村光太郎 1914年(大正3年)3月 「美の廃墟」

文字数
1,423字
読了目安
約3分
表記
旧字旧仮名

この作品について

高村光太郎の代表詩。1914年(大正3年)に発表され、のちに刊行された同名の第一詩集「道程」の掉尾を飾った。初出は百二行におよぶ長詩で、自然を「父」と仰ぎ、その導きを信じて未知の道を切りひらいていこうとする、若き詩人の力強い意志と生命の讃歌がうたわれる。末尾を短く改めた「僕の前に道はない/僕の後ろに道は出来る」の数行は、あまりに名高い。日本近代詩を代表する一編である。

あらすじ

「どこかに通じてる大道を僕は歩いてゐるのぢやない/僕の前に道はない/僕の後ろに道は出來る」——詩人は、あらかじめ用意された道を歩むのではなく、自らの足で踏みしだいて道を作りながら進むのだと歌う。ふり返れば、自堕落に消え滅びかけた道、絶望に閉ざされた道、幼い苦悩にもみつぶされた道——戦慄に値するほど四離滅裂で無惨な自分の道。だが、そのやくざに見えた道のなかから「生命の意味」をはっきり見せてくれたのは「自然」だった。詩人は自然を「厳格な父の愛」と仰ぎ、その父の気魄に満たされて、「歩け」という声に貫かれる。もはや頼る手はなく、ただ宇宙に満ちみちた父を信じて全身を投げうつのだ——。自然の子としての使命を全身に感じながら、広漠とした風景の中へ踏み込んでいく若き魂の讃歌。「ああ、父よ/僕を一人立ちにさせた父よ(…)この遠い道程の爲め」と結ばれる。日本近代詩の記念碑的な一編である。

冒頭部(原文より)

どこかに通じてる大道を僕は歩いてゐるのぢやない 僕の前に道はない 僕の後ろに道は出來る 道は僕のふみしだいて來た足あとだ だから 道の最端にいつでも僕は立つてゐる 何といふ曲りくねり 迷ひまよつた道だらう

「道程」高村光太郎(青空文庫)

末尾部(原文より)

ああ 人類の道程は遠い そして其の大道はない 自然の子供等が全身の力で拓いて行かねばならないのだ 歩け、歩け どんなものが出て來ても乘り越して歩け この光り輝やく風景の中に踏み込んでゆけ 僕の前に道はない 僕の後ろに道は出來る ああ、父よ 僕を一人立ちにさせた父よ 僕から目を離さないで守る事をせよ 常に父の氣魄を僕に充たせよ この遠い道程の爲め

「道程」高村光太郎(青空文庫)

名文

僕の前に道はない 僕の後ろに道は出來る

詩集の表題作の冒頭。踏み分けてきた足あとこそが道だと言い切り、自らを鼓舞する光太郎の代表作。

原文を読む

原文は青空文庫で公開されています(アプリからも同じ本文をダウンロードして縦書きで読めます)。

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