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学問のすゝめ(福沢諭吉)のあらすじ・登場人物

「天は人の上に人を造らず」

福沢諭吉 1872年(明治5年)2月 「書き下ろし」

文字数
87,119字
読了目安
約2時間54分
表記
新字新仮名

この作品について

1872年(明治5年)から1876年にかけて17編の小冊子として刊行され、1880年に一冊へまとめられた福沢諭吉の啓蒙書。初編は小幡篤次郎との連名で、郷里の中津に学校を開くにあたり、学問の趣旨を伝えるために書かれた。生まれによる身分の上下を問い、読み書きや計算、地理、歴史など、日常に役立つ学問を勧める。議論は勉強の必要性にとどまらず、個人と国家の独立、政府と人民の関係、演説や討論、人との交際へと広がっていく。身近なたとえや読者への問いかけを使い、古くからの習慣や権威を自分の判断で確かめる姿勢を説く文章が特徴だ。初めから全17編を予定した本ではなく、反響を受けて続編が重ねられた。明治初期には学校の読本にも使われ、社会の変化の中で何を学び、どう振る舞うかを広く読者に問いかけた。

あらすじ

初編は「天は人の上に人を造らず人の下に人を造らず」の一句から説き起こし、人と人との間に生まれながらの貴賤貧富の別はなく、その差は学問を修めたか否かにより生じるのだと説く。和歌や詩にも人の心を喜ばせる効用があるとしながら、まず日常に役立つ「実学」を勧める。以降の各編では、一身の独立と一国の独立との関係、法の下の権利義務、演説や討論の効用、学者の職分、そして人望や交際の心得に至るまで、幅広い問題を取り上げる。古い習慣や権威を問い直し、一人ひとりが自立して社会に関わるための考えを、身近なたとえを交えて説いていく。

冒頭部(原文より)

初編 「天は人の上に人を造らず人の下に人を造らず」と言えり。されば天より人を生ずるには、万人は万人みな同じ位にして、生まれながら貴賤上下の差別なく、万物の霊たる身と心との働きをもって天地の間にあるよろずの物を資り、もって衣食住の用を達し、自由自在、互いに人の妨げをなさずしておのおの安楽にこの世を渡らしめ給うの趣意なり。

「学問のすゝめ」福沢諭吉(青空文庫)

末尾部(原文より)

人類多しといえども、鬼にもあらず蛇にもあらず、ことさらにわれを害せんとする悪敵はなきものなり。恐れはばかるところなく、心事を丸出しにしてさっさと応接すべし。ゆえに交わりを広くするの要は、この心事をなるたけ沢山にして、多芸多能一色に偏せず、さまざまの方向によりて人に接するにあり。あるいは学問をもって接し、あるいは商売によりて交わり、あるいは書画の友あり、あるいは碁・将棋の相手あり、およそ遊冶放蕩の悪事にあらざるより以上のことなれば、友を会するの方便たらざるものなし。人にして人を毛嫌いするなかれ。

「学問のすゝめ」福沢諭吉(青空文庫)

名文

「天は人の上に人を造らず人の下に人を造らず」と言えり。

近代日本の啓蒙を象徴する冒頭の一句。生まれながらの貴賤はなく、人の差は学ぶか否かにあると説く、独立自尊の宣言。

されば賢人と愚人との別は学ぶと学ばざるとによりてできるものなり。

名高い冒頭に続く一節。人の貴賤は生まれではなく学ぶか否かで決まると説き、学問を勧める本書の主旨をはっきり示す。

独立とは自分にて自分の身を支配し他によりすがる心なきを言う。

第三編で「独立」の意味を説く一文。続いて、自分で是非を判断することと、自分の働きで暮らしを立てることを挙げ、個人の自立を一国の独立へ結びつける。

わが日本国人も今より学問に志し気力を慥かにして、まず一身の独立を謀り、したがって一国の富強を致すことあらば、なんぞ西洋人の力を恐るるに足らん。道理あるものはこれに交わり、道理なきものはこれを打ち払わんのみ。一身独立して一国独立するとはこのことなり。

第三編の一節。一人ひとりが学んで自立することが国の独立につながると説き、「一身独立して一国独立す」として知られる福沢の思想の要をなす。

原文を読む

原文は青空文庫で公開されています(アプリからも同じ本文をダウンロードして縦書きで読めます)。

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